伊藤忠、フィンランドの世界最大級パルプメーカーに約500億円出資 

2012年4月11日 16:26

 伊藤忠商事は11日、世界最大級のフィンランドの針葉樹パルプメーカーで、主に欧州及びアジア市場で販売を展開するMETSA FIBRE社(メッツァファイバー)の発行済み株式24.9%を取得することについて、METSA GROUP(メッツァグループ)と合意に達したと発表した。株式取得額は4億7,200万ユーロ(約500億円)となり、伊藤忠商事の非資源分野における最大規模の案件となる。なお、同案件は欧州地域で必要となる独占禁止法上の承認審査を経て、正式に手続き完了となる。

 メッツァファイバーはフィンランド国内に4つのパルプ工場を有し、年間約240万トンのパルプ生産能力を誇る世界最大級のパルプメーカー。世界的に紙の需要が増加する中、主原料となる北部針葉樹は成長に約80年を要する希少な資源だが、メッツァファイバーはフィンランド国内に潤沢で良質な森林資源を有するメッツァグループの安定した原料供給を背景に高いコスト競争力を有している。

 伊藤忠商事とメッツァファイバーは1970年代の日本向け輸入取引を端緒に、2004年9月に正式な販売提携を開始。伊藤忠商事はメッツァファイバーの針葉樹パルプを独占販売代理店としてアジア市場に拡販し、メッツァファイバーは伊藤忠商事のCENIBRA(セニブラ)の広葉樹パルプを欧州の広葉樹パルプ市場で販売してきた。

 伊藤忠商事は既にブラジルのCENIBRA(セニブラ)社からの広葉樹パルプを核として、主に中国・ヨーロッパ・北米に販売ネットワークを確立している。2011年度実績においても、世界の主要パルプトレーダーの中で年間215万トンの最多数量を取り扱った。

 今回の株式取得後は、新たにメッツァファイバー社の針葉樹パルプの新規商権を針葉樹パルプ市場において獲得する。これにより、伊藤忠商事の取扱量は更に増加し、リーディング・グローバル・パルプトレーダーとしての地位を確固たるものとし、販売ネットワークの拡大と紙パルプ事業の更なる強化を実行していく方針。

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