日産、英サンダーランド工場で新型ハッチバックを生産 生産能力55万台以上
2012年4月10日 15:26
日産自動車は10日、英国サンダーランド工場で2014年から新たな中型モデルの生産を開始することを発表した。日産は、先月開催されたジュネーブモーターショーにおいて、2013年からサンダーランド工場でコンセプトカーの「INVITATION(インビテーション)」をベースとしたBセグメントのコンパクトカーを生産することを発表しているが、今回の発表はそれに続くものとなる。
新しい中型ハッチバックの生産開始により、日産の工場で新たに225人、英国で日産に供給を行う部品メーカーでは900人の雇用が新たに創出される。INVITATIONを加えた両車種では、英国の自動車分野において今後2年以内に日産で625人、その他サプライヤーも加えると合計3,000人以上の新たな雇用が生み出されることになる。サンダーランド工場での年間生産能力は50万台以上、それを支える従業員数は過去最高の6,225人となる予定。
なお、今回の発表は、英国のキャメロン首相が横浜の日産本社を訪問した際に、同社の志賀俊之最高執行責任者(COO)と共に行ったもの。
新型ハッチバックの名称は今後発表される予定。日産はこの新型車で、欧州で主流となっている中型セグメントでの復活を果たすことになり、また同新型車は日産の中期経営計画「日産パワー88」で、日産が目指す「継続的な拡大」のために重要な役割を担うことになる。
新型ハッチバックのための生産能力は約8万台を予定しており、サンダーランド工場では新たな生産シフトが必要となる。これにより、両生産ラインが同工場の26年の歴史の中で初めて24時間体制で稼働することになる。この体制での生産能力は55万台以上となる。
また、サンダーランド工場は1998年以降、英国最大の自動車生産工場であり、今回の発表でその地位がより強固なものとなる。サンダーランド工場は2010年に、「キャシュカイ」、「ノート」、「ジューク」を42万3,000台生産し、英国で初めて単年40万台以上を生産した唯一の自動車工場となっている。この記録は昨年48万台を生産したことで更新されており、さらに現在、50万台超を生産するための準備を整えている。
日産は、新型ハッチバック生産のためサンダーランド工場に新たに1億2,700万ポンド(約165億円)の投資を行うと共に、英国政府の地域成長基金から820万ポンドの支援を受けている。サンダーランド工場へは近年、同工場への総投資額の4分の1以上にも相当する総額9億2,100万ポンドの投資を行っているが、その中でも今回の投資は今までにない規模のものとなっている。この投資には、新型車の2車種の生産に加えて、2013年に生産開始予定の「日産リーフ」、「ジューク」の発売、バッテリー工場の新設、キャシュカイのモデルチェンジも含まれている。
志賀COOは、「日産は近年、欧州において、現地で設計、開発、生産した『キャシュカイ』、『ジューク』などお客様に焦点を置いた革新的なモデルをお届けすることで、記録的な成長を遂げている」と述べた。また、「私たちはすでに欧州で、アジア系自動車メーカーの中で最も多くの車両を生産しており、本日発表した車種で、欧州Cセグメントの中心にいるお客様へ世界レベルの品質と優れた技術をお届けする」、さらに「英国政府の持続的で力強いサポートにより、サンダーランド工場での活動に対し長期にわたり多額の投資を行うことが出来たことに感謝申し上げたいと思う」とも述べた。
英国のデービッド・キャメロン首相は、「日産が、新型ハッチバックを英国で生産し、それによりサンダーランド工場および国内のサプライチェーンにおいて1,000名以上の雇用の創出が見込まれているということは素晴らしいニュースだ。日産のような世界有数の企業が英国で生産を拡大しているということは、英国の製造業に強さと勢いがある証拠」と述べた。また、「私は、日産のサンダーランド工場でその非常に素晴らしい作業の様子を見たことがあるが、今回、日産の横浜にある本社を訪問できたことを大変光栄に思っている。日産が英国へ投資することで、英国の労働力のスキルと柔軟性にお墨付きが与えられたことになる。私たちはこのような投資がさらに行われることを望んでおり、そのため、地域成長基金といったようなインセンティブを活用して国外企業を誘致している」と述べた。