『下値を固める展開』に、売方のいっそうの攻勢は困難=犬丸正寛の相場展望
2012年4月7日 11:30
来週(9~13日)は、『様子見気分の強い中で下値を固める展開』だろう。日経平均は9650円台まで下げ、ほぼ1ヶ月前水準へ逆戻りした。相場強弱判断の一つである、「30日線」を今年1月18日以来、ほぼ3ヶ月ぶりに割り込み「売り転換」した。
日経平均が1ヶ月前水準へ逆戻りしたことをどうみるか。別の見方をすれば、「この1ヶ月で何が起きたか」ということでもある。
「海外」では、落ち着いていた欧州の金融不安がまた頭をもたげている。これに連れて、ユーロが売られ円安傾向にあった円相場が円高に振れている。原油価格も高騰している。新興国では中国、インドの経済成長の鈍化が伝えられた。北朝鮮が衛星打上表明を予告したのもほぼ1ヶ月前の3月17日だった。一方、アメリカは景気堅調が続いている。
さらに、「国内」においては、この1ヶ月内に起きたことといえば、やはり政局だろう。消費税について閣議決定はなされたものの、連立政権から国民新党の亀井代表が去った。民主党内にも不協和音が漂っている。3月期決算期企業への配当取りの買いもこの間に一巡した。
こうしてみると、欧州不安にしても国内政局不透明にしても、以前から言われていたことである。とくに、「売り叩く」材料ではないだろう。むしろ、ここに来て日経平均が調整色を強めている背景には、昨年11月のボトム8135円から今年3月27日の1万0255円まで上昇期間4ヶ月、上昇率が26%となったことに対する、「買い疲れ感」とみるべきだろう。
これまで、買方優勢、売方(空売り)劣勢という状況だっただけに、売方が相場の上値が重くなったのを見て攻勢をかけたということだろう。
では、売方がさらに攻勢をかけることができる状況だろうか。それは難しそうだ。欧州の信用不安は波乱含みではあっても2月頃のような最悪状況ではない。新興国関連についても、既に、中国関連銘柄などについては買い見送り状態だった。新たにシコリ株が積み上がった状況ではい。アメリカも仮に景気失速懸念がでれば第3次金融緩和(QE3)が見込めるだろう。
円相場も極端な円高にはならないものとみられる。ただ、これから3月期決算の発表が始まる。とくに、かなりの増益が見込まれている次期(2013年3月期)の業績がどう展開するかに目が向くものとみられる。足元で「原油高」、「ガソリン価格上昇」があり、さらに「電力料金」の大幅値上げが控えているからだ。このため、買方としても、しばらくは積極的に上値を買い難い。
日経平均は30日線を割ったものの、9500円台は下値のフシ水準。これ以上、大きく下げることはないとみてよいだろう。ほぼ下値に届いたとみてよいだろう。むしろ、週末のアメリカの雇用統計に反応してNYダウが反発するようなら日経平均も戻りを試す展開になるものとみられる。
当面は「3月期決算動向」、「北朝鮮の衛星打上」、「小沢元代表の裁判」などを見守る展開だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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