クロミンククジラ 南極海での繁殖状況は健全
2012年4月2日 11:00
水産庁は31日、2011年度の南極海鯨類捕獲調査の調査航海が終了したと発表するとともに、今回の調査で採集したクロミンククジラの雌(167頭)のうち、64.1%が性的に成熟しており、そのうちの92.5%が妊娠していることが確認されるなど、南極海での繁殖状況が健全なことが示唆される結果になったとした。
調査は鯨類を中心とした南極海生態系のモニタリングや鯨種間競合モデルの構築、クロミンククジラ資源の管理方式の改善などを目的に、国際捕鯨取締条約に基づいて、財団法人日本鯨類研究所が農林水産大臣の許可を受けて実施している。
今回は南緯60度以南の南極海を対象エリアに今年1月1日から3月6日までの期間で日新丸(8044トン)など4隻で実施。クロミンククジラ266頭、ナガスクジラ1頭を標本採集したとしている。
その結果、クロミンククジラ266頭のうち、167頭が雌で、性的に成熟していた雌クジラのうち92.5%が妊娠していることが分かった。また、ナガスクジラは発見した11群31頭から、未成熟な雌1頭(体長18.34メートル、体重36.63トン)を採集した結果、ナンキョクオキアミを捕食していたことが確認できたとして、南極海生態系解明の貴重な資料になるとした。
このほか、今回の調査ではクロミンククジラ1頭とミナミセミクジラ2頭に衛星標識が装着できたことから、継続受信することに成功すればミナミセミクジラの回遊に関する貴重な情報が得られるとして、これにも関係者らは期待を寄せている。