【介護サービス関連特集(1)】市場は高齢者の増加を背景に拡大基調

2012年3月25日 19:32

■介護サービス市場は拡大基調、4月の介護報酬改定は訪問看護に重点

  介護サービス関連市場は、高齢者の増加を背景に拡大基調である。そして介護サービス事業を展開する各社の業績も、概ね好調に推移している。介護サービス利用者数の増加に伴って、ヘルパーや看護師の業務効率が向上しているだけでなく、老人ホームの入居率が高水準で施設稼働率が上昇していることも寄与して、各社ともに収益性を高めている。

  12年4月に実施される介護報酬改定(3年に1回の見直し)では、訪問看護など在宅医療・介護分野に重点配分されることになった。12年1月25日の厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会における介護報酬改定案答申では、全体の改定率がプラス1.2%となり、このうち在宅がプラス1.0%、施設がプラス0.2%となっている。

■「地域包括ケアシステム」の構築を推進

  今回の介護報酬改定は、診療報酬改定との6年に1回の同時改定にあたり、住み慣れた地域や自宅で暮らし続けるための「地域包括ケアシステム」の構築を推進する。

  背景には、団塊世代の高齢化で今後の病床不足が予想されるため、病院依存からの脱却を進める狙いもある。日本では患者の平均入院日数が欧米諸国に比べて長く、自宅で最期を迎える人の比率も従来に比べて大幅に低下している。在宅医療・介護サービスが充実すれば、高齢者らが退院して自宅へ戻りやすくなり、長期入院が減って病床不足の解消にもつながるとしている。

  具体的には、24時間定期巡回・随時対応型の訪問看護・介護などの在宅サービス、自宅に戻った後も必要な時は施設を使える複合型サービスなどが新設された。24時間定期巡回・随時対応型サービスは、看護士などが高齢者や要介護者の自宅を訪問して、体調確認やリハビリなどを24時間体制で提供するサービスで、住み慣れた地域や自宅で暮らし続けることができる在宅サービスの柱と位置付けられている。

  そして報酬改定の方向性としては、新設サービスを含めて在宅医療・介護分野を優遇するため、訪問看護サービスなどに報酬が重点配分される。一方で、通所介護(デイサービス)、共同生活介護(グループホーム)、介護付き有料老人ホームなど、施設型介護サービスの報酬が減額改定となる。訪問介護サービスについても、利用時間の区分変更などで減収となる場合もある。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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