アステラス製薬などがインフルエンザワクチンの良好な忍容性を確認

2012年3月15日 11:00

 アステラス製薬とUMNファーマが、共同で開発を進めている組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1)ASP7373(UMNファーマの開発コード:UMN-0501)の第II相臨床試験において、その結果を発表。免疫原性が確認されるとともに、重篤な有害事象も認められず、良好な忍容性が確認されたという。

 両社は、健康成人被験者180名を対象にASP7373の3用量を3週間隔で2回筋肉内接種することにより、免疫原性及び安全性を比較検討し、ASP7373の臨床推奨用量を検討することを主な目的としたこの臨床試験を実施しており、すでに被験者全例への治験薬接種が完了し、データの集計作業を行なっていた。

 ワクチン接種の利点を周知させるために行われる啓発活動が強化されているため、接種率は引き続き伸びていくと予想されている。しかし、日本の医薬品に対する承認のスピードは異常に遅く、諸外国で承認されているワクチンが日本では未承認で、個人輸入による全額自己負担で摂取するしかその手段がないことなどが、大きく取り上げられている。諸外国で承認されている医薬品については、人種間格差を考慮しなければならない等、一概に外国では大丈夫なのだからという理屈で承認出来ないことは想像が出来る。では、今回結果が発表された臨床試験はどうであろうか。発表では人種などの特定がなされていないが、これが日本人をターゲットとした試験であったならば、諸外国でのみ認証済み医薬品と比してそのハードルは低いであろう。昨年9月には第一三共が、インフルエンザHAワクチン「北里第一三共」と同シリンジの約240万本について、外来性ウイルス混入の可能性があるとして、出荷の遅延が発生している。今後同様の事態が発生した時にも十分なワクチンが確保できるよう、有益なものであるならば、一刻も早く医薬品としての申請・承認が行われることを期待したい。

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