旭化成、米国の救命救急医療機器大手にTOB、約1800億円で買収へ
2012年3月12日 18:32
旭化成は12日、本日、米国の救命救急医療機器大手であるZOLL Medical Corporation(ゾール・メディカル社、本社:米国マサチューセッツ州)と、旭化成の米国子会社による株式公開買付け、およびそれに続く現金を対価とする合併により、ゾール・メディカル社を買収することについて合意したと発表した。
旭化成は、合意内容に基づき、米国で新たに設立した子会社を通じた公開買付けおよび合併により、ゾール・メディカル社の発行済普通株式の総数を総額約22.1億ドル(約1800億円、1株あたり93ドル)で取得する。今回の買収は友好的なものであり、旭化成およびゾール・メディカル社の両取締役会は買収を既に承認している。なお、買収完了のためには、独占禁止法に基づく条件の充足、その他一般的な前提条件を満たすことが必要となる。
旭化成は、医療関連分野について、同社グループ経営を支える次世代の中核事業領域と位置付け、グローバルな成長戦略を推進している。同社のヘルスケア事業は、泌尿器・骨領域・血液疾患等の医薬事業および透析等の血液浄化関連、バイオプロセス関連の医療機器事業の2つの領域により構成されている。同社はこれらの事業に加え、新たに成長を牽引する事業基盤の構築を検討してきた。その検討の中で、「人びとのいのち」を救うために必要不可欠な医療であり、今後もグローバルに成長が期待できる領域として、クリティカルケア(救命救急医療)分野に絞り、参入の機会を模索してきた。
ゾール・メディカル社は生命蘇生技術をコアテクノロジーとした会社で、米国の体外除細動器市場では強固な事業基盤を保有している。着用式除細動器「LifeVest」や体温マネージメント機器「Thermogard」等の革新的医療機器で事業拡大を図るとともに、その基盤を欧州、アジアに拡げることを重要な方針として掲げている。
旭化成は、日本での事業強化を模索していたゾール・メディカル社との協業を開始し、第一弾として昨年8月より、AED(自動体外式除細動器)「ZOLL AED Plus」を旭化成グループが販売を始めるとともに、ゾール・メディカル社の日本における薬事コンサルタントおよびマーケティングを旭化成グループ企業が引き受ける等、幅広い協力関係を構築してきた。今回、今後の両社のさらなる協力関係の強化について協議してきた結果、旭化成とゾール・メディカル社との間で買収の合意に至った。