【銘柄診断】三越伊勢丹HDは伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店のリモデル効果に期待
2012年3月11日 14:18
【特集:小売(百貨店)関連銘柄診断】
三越伊勢丹ホールディングス <3099> は、08年に三越と伊勢丹が経営統合した持株会社である。百貨店事業(三越伊勢丹の三越4店舗と伊勢丹6店舗、および国内グループ会社の札幌丸井三越、函館丸井今井、静岡伊勢丹、新潟三越伊勢丹、岩田屋三越、仙台三越、名古屋三越、広島三越、高松三越、松山三越)を主力として、小売・専門店事業、クレジット・金融・友の会事業、不動産事業、その他事業を展開している。
12年3月期通期の連結業績の見通し(2月10日に上方修正発表)については、売上高が前期比1%増の1兆2350億円、営業利益が同2.0倍の220億円、経常利益が同29%増の350億円、純利益が同21倍の550億円、予想EPS(1株利益)が139円42銭、年間配当が10.0円(第2四半期末0円、期末10.0円)としている。百貨店事業の売上が堅調な模様であり、純利益については法人税率変更に伴う法人税等調整額の減少が寄与する模様だ。
なお2月10日に上方修正を発表したが、修正後の通期見通しに対する11年4~12月期累計実績の進捗率は、売上高が76%、営業利益が113%、経常利益が98%、純利益が102%であり、さらに上振れの可能性が高いだろう。
12年3月期の百貨店事業の月次売上動向で、既存店の売上高伸び率(前年同月比)を見ると、三越伊勢丹(三越4店舗と伊勢丹6店舗の合計)ベースで、11年4月が0.9%増加、5月が0.4%減少、6月が4.7%増加、7月が3.8%増加、8月が1.2%増加、9月が0.7%減少、10月が1.2%増加、11月が0.2%減少、12月が0.4%増加、12年1月が0.4%増加となった。12年2月は速報値ベースで0.2%増加となった。閏年だったが、店舗休業日を1日設けたため営業日数は前年同月と同数だった。
経営統合から3年が経過して、カード統合、システム・業務フロー統合、事業会社統合など、機能・組織の統合・再編がほぼ完了したとしている。そして12年からの新3カ年計画では5つの重点事業として、百貨店・専門館事業、海外事業、スーパーマーケット事業、ダイレクト(通販・WEB・宅配)事業、カード事業を掲げ、14年度の営業利益330億円を目指している。
また、10年9月の三越銀座店の増床リモデルに続き、12年度に伊勢丹新宿本店、13~14年度に三越日本橋本店のリモデルを予定している。海外展開については、中国および東南アジアへの積極出店で早期に売上高1000億円を目指している。
株価の動きを見ると、11年2月の昨年来高値1046円から、11年3月の東日本大震災直後の昨年来安値680円まで下落した。その後は反発力が鈍く、大勢として700円近辺~850円近辺でのボックス展開だった。しかし1月下旬に850円近辺のボックスレンジ上限を突破して、足元では900円台まで上昇した。週足ベースで見れば、東日本大震災で急落した際の窓も埋めて、トレンドが好転した形だろう。
足元の株価水準を指標面で見ると、12年3月期ベースの連結予想PERは6~7倍近辺(ただし純利益がイレギュラーのため参考にならない)、予想配当利回りは1%台前半、11年3月期ベースの実績PBRは0.9倍近辺の水準である。また需給面では信用倍率が0.1倍台と大幅な売り長の水準である。12年3月期の上振れ期待、伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店のリモデル効果期待なども考慮すれば、上昇余地があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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