【特集】セクター別動向「小売(百貨店)関連」(3)

2012年3月11日 12:19

■大手百貨店6社の株価見通し、業態革新、旗艦店の改装・増床、M&A、海外展開強化がテーマ

  個人消費の低迷や低価格志向、若年層を中心としたライフスタイルの変化、少子高齢化に伴う国内市場の縮小、カテゴリーキラー(専門店)の躍進など、百貨店業界にとっては厳しい状況が続いている。

  また、大手百貨店6社の月次売上動向を見ると、旗艦店の改装・増床オープンの効果を除けば、概ね底ばいの状況と言えるだろう。

  このため大手百貨店各社ともに、マーケット環境の変化に対応するため、旗艦店の改装・増床、不採算店の閉鎖、ターゲットやコンセプトを明確にした商品戦略の強化、自主編集売場の強化、仕入れ機能の強化、効率的オペレーション体制の構築などに取り組んでいる。

  こうした業態革新への取り組みに加えて、中国や東南アジアへの新規出店など、海外展開にも積極的に取り組む方針を打ち出している。

  株価見通しという点では、各社の旗艦店の改装・増床オープンが相次いでいるため、その効果と収益への寄与度が材料視されやすいだろう。また株式市場の上昇などで資産効果が期待される状況になれば、高額商品の売上動向などが材料視される可能性もあるだろう。

  さらに、J.フロント リテイリング <3086> がパルコ <8251> を持分法適用関連会社化するなど、M&Aも活用して周辺分野への進出を推進する動きも出始めただけに、M&Aや再度の業界再編なども今後のテーマになりそうだ。

  J.フロント リテイリング <3086> の株価は、2月下旬以降にボックスレンジ上限を突破する展開となり、足元では400円台を回復して、東日本大震災直前の水準に接近している。ボックスレンジから上放れてトレンドが好転した形だろう。また低PBRの見直し、12年秋予定の大丸東京店の増床オープン効果期待などで、上昇余地があるだろう。

  三越伊勢丹ホールディングス <3099> の株価は、1月下旬に850円近辺のボックスレンジ上限を突破して、足元では900円台まで上昇した。東日本大震災で急落した際の窓も埋めて、トレンドが好転した形だろう。また12年3月期業績の上振れ期待、伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店のリモデル効果期待なども考慮すれば、上昇余地があるだろう。

  高島屋 <8233> の株価は、11年秋以降は徐々に下値を切り上げる展開となり、2月下旬には600円台を回復した。三角保ち合いから上放れて、トレンドが好転した形だろう。低PBRの見直しなども考慮すれば、上昇余地があるだろう。また、高島屋東京店の再開発計画が材料視される可能性もあるだろう。

  松屋 <8237> の株価は、2月に入ると450円近辺でのモミ合い展開から上放れて、足元では600円台まで急騰し、東日本大震災前の水準に接近している。ファンダメンタルズ面や指標面では買いづらい水準であり、短期的な過熱感にも注意が必要となるが、動意づけば出来高を伴って急騰する傾向も強いだけに、需給面が支援材料だろう。

  エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> の株価は、概ね520円近辺~620円近辺でのボックス展開だったが、足元では600円台に乗せて急騰し、一気に昨年来高値を更新した。阪急うめだ本店の改装オープン効果などで13年3月期以降の収益拡大が期待されることも考慮すれば、上昇余地があるだろう。またボックスレンジ上限を突破した形でもあり、一段高の期待も高まるだろう。

  丸井グループ <8252> の株価は、550円近辺~600円近辺でのボックス展開だったが、1月下旬に600円台に乗せた後は、ボックスレンジから上放れる形となって上伸した。足元では600円台後半まで上昇して戻り高値圏の水準となっている。低PBRの見直しなども考慮すれば上昇余地があり、13週移動平均線がサポートする形になれば、トレンド好転の可能性が高まるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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