【銘柄診断】エイチ・ツー・オー リテイリングはボックスレンジ上限を突破
2012年3月11日 12:16
【特集:小売(百貨店)関連銘柄診断】
エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> は、07年に阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合した持株会社である。百貨店事業(阪急阪神百貨店の阪急12店舗と阪神4店舗)を主力として、スーパーマーケット事業、PM事業(商業施設やビジネスホテルなどの運営)、関連事業(個別宅配事業、飲食店チェーン事業など)を展開している。
12年3月期通期の連結業績の見通しについては、売上高が前期比8%増の5035億円、営業利益が同12%減の93億円、経常利益が同13%減の98億円、純利益が同71%減の9億円、予想EPS(1株利益)が4円91銭、年間配当が12.5円(第2四半期末6.25円、期末6.25円)としている。11年3月に開業した博多阪急などが寄与して増収だが、営業利益、経常利益については、新規出店増による減価償却費増加がマイナス要因となり、純利益については、神戸阪急の閉鎖(12年3月)に伴う特別損失計上を見込んでいる。
12年3月期の百貨店事業の月次売上動向で、既存店ベースの売上高伸び率(前年同月比)を見ると、11年4月が1.4%増加、5月が3.7%減少、6月が2.5%減少、7月が4.4%減少、8月が5.3%減少、9月が5.5%減少、10月が4.4%減少、11月が2.7%減少、12月が0.3%減少、12年1月が3.6%減少となった。なお12年2月は速報値ベースで0.1%増加となった。
14年度を最終年度とする長期経営計画では、関西商圏において百貨店・食品スーパー・個別宅配を中心とする小売事業に集中投資して、関西商圏におけるシェア拡大を図るとしている。
また11年3月には、九州エリアへの初出店となる博多阪急、東京・JR大井町駅前再開発プロジェクトにおける阪急大井町ガーデンを開業した。4月にはエブリデイ・ドットコムを、9月には家族亭(ジャスダック9931)を子会社化した。そして10月には、有楽町阪急を全面改装して「阪急MEN'S TOKYO」を開業した。阪急うめだ本店については、12年中の改装オープンを予定している。09年9月に1期棟が完成し、現在は第2期棟の建設(12年10~12月期の完成予定)を進めている。
株価の動きを見ると、11年2月の昨年来高値644円から、11年3月の東日本大震災直後の昨年来安値422円まで下落したが、急反発して500円台を回復した。その後は概ね520円近辺~620円近辺でのボックス展開となっている。2月中旬には自己株式処分による売り出しを嫌気して弱含む場面もあったが、足元では600円台に乗せて急騰し、一気に昨年来高値を更新した。ボックスレンジ上限を突破した形であり、一段高の期待も高まるだろう。
足元の株価水準を指標面で見ると、12年3月期ベースの連結予想PERは120~130倍近辺(ただし純利益がイレギュラーのため参考にならない)、予想配当利回りは2%近辺、11年3月期ベースの実績PBRは0.8倍台の水準である。また需給面では信用倍率が0.1倍台と大幅な売り長の水準である。阪急うめだ本店の改装オープン効果で、13年3月期以降の収益拡大が期待されることも考慮すれば、上昇余地があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
【関連記事・情報】
・【特集】底値圏のマーケットで注目される「高配当利回り銘柄」(2012/02/28)
・【特集】「小売(総合スーパー・大手コンビニ)関連」(2012/01/23)
・プロの記者が急騰銘柄を徹底予想!日刊株式投資情報新聞(無料)メルマガ登録受付中!(2012/02/02)
・犬丸正寛の相場格言~データでは説明できない先人の知恵をもとに株式投資で大成功~(2012/02/02)