【銘柄診断】アルバックは設備投資回復に時間を要し当面は反発力の鈍い展開に
2012年2月25日 13:12
【半導体・液晶・太陽電池の製造装置関連特集】
アルバック <6728> は、真空機器事業としてFPD製造装置(スパッタリング装置、プラズマCVD装置、タッチパネル製造装置など)、PV(太陽電池)製造装置、半導体および電子部品製造装置(スパッタリング装置など)、一般産業用装置を展開している。また真空応用事業(スパッタリングターゲット材料など)も展開している。
2月13日に11年7~12月期累計の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3%減の1156億円、営業利益は同2.8倍の27億円、経常利益は同4.2倍の33億円、純利益は2億円の黒字(前年同期は8億円の赤字)だった。主力の真空機器事業は減益だったが、コストダウン効果などで真空応用事業の営業損益が好転した。全社ベースの受注高は同20%減の822億円となり、従来予想の980億円を大幅に下回った。
セグメント別に見ると、真空機器事業は受注高が同21%減の627億円、売上高が同4%減の966億円、営業利益(連結調整前)が同12%減の15億円だった。FPD製造装置やPV製造装置の需要が低迷した。真空応用事業は受注高が同16%減の194億円、売上高が同微減の189億円、営業利益(同)が11億円の黒字(前年同期は7億円の赤字)だった。
12年6月期通期の連結業績予想については、前回予想から下方修正した。売上高は前回の2350億円から今回の2200億円(前期比5%減)、営業利益は70億円から19億円(同3%増)、経常利益は62億円から19億円(同32%増)、純利益は31億円の黒字から18億円の赤字(前期は87億円の赤字)に、それぞれ下方修正した。予想EPS(1株利益)は36円48銭の赤字としている。
通期の受注高についても、前回の2000億円から今回の1800億円(前期比24%減)に下方修正した。中国や台湾などで、液晶パネルメーカーや太陽電池パネルメーカーの設備投資の延期や中止が相次ぎ、収益柱のFPD製造装置、PV製造装置の受注が低迷している。FPD製造装置の受注高は前回の684億円から今回の548億円(同40%減)、またPV製造装置については176億円から69億円(同3%減)に下方修正した。半導体・電子部品製造装置については270億円から284億円(同26%減)に引き上げた。
全社ベースの半期受注高の推移を見ると、09年7~12月が1189億円、10年1~6月が1028億円、7~12月が1023億円、11年1~6月が1337億円、7~12月が822億円、12年1~6月(予想)が978億円となる。12年1~6月はやや回復傾向となる見通しだが、引き続き低水準の模様である。本格回復には時間を要しそうだ。
株価の動きを見ると、11年1月の昨年来高値2408円から、11年11月の昨年来安値833円まで下落して底打ちしたが、反発力がやや鈍く、その後は1000円を挟むレンジでモミ合う展開となっている。足元では、12年6月期通期の連結業績予想の下方修正を嫌気して売られ、結果的に週足ベースで見ると26週移動平均線が戻りを圧迫する形となった。
足元の株価水準を指標面で見ると、12年3月期ベースの予想配当利回りは1.3%台、実績PBRは0.6倍台である。需給面で見れば信用倍率は4倍台である。液晶・太陽電池関連の設備投資回復には時間を要する可能性が高いだけに、当面は反発力の鈍い展開の可能性もあるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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