五十嵐財務副大臣「年金は消費税10%ではとても足りない」を『容認』

2012年1月27日 13:43

■「霞ヶ関発・兜町着」直行便

  野田首相は昨日、就任以来初の施政方針演説を行った。内容は「税と社会保障の一体改革の推進」にあり、そのためには「消費税を段階的に15%まで引き上げる」、そしてその国民的課題のために野党は『政局』を捨て『大局』に付き協力して欲しい」というものであった。だが、社会保障の眼点で、国民の最大関心事である「年金問題」については一言も触れていない。まったく具体性に欠けた政府の「施政方針」と言える。そのような中で、藤本官房長官は、23日の記者会見で「民主党の年金制度改革を進めるとなると、今予定している消費税10%ではとても足りない」と発言したが、同日、五十嵐財務大臣は記者会見で、それを『容認』するような答弁を行った。

  民主党は年金について、一応、理想像を、細かい数字は入っていないが、作り上げている。つまり、スウェーデン型の最低保障年金に転化していって税方式にシフトするというやり方だ。当面3%、後でプラスもう1%、4%程度の税率がそのために必要だと。消費税換算でだ。だから、財源が必要だという話はその当時もしていたわけだから、(官房長官発言は)当然それはあり得る話だと。ただ、設計そのものも直ちにやれる状況に今なっていないので、これから徐々に時間をかけてその理想形を目指して作り替えていくと。

  だから当面は、厚生年金と共済年金の統合を目指し、その後国民年金をどうするかということになっていくし、また、直ちに税方式というよりは、社会保険料方式も加えながら徐々に最低保障年金的な充実を図っていく。そのためには、今、短くて25年、国民年金だと40年必要とされる加入期間、資格を得るための支払い期間を短くしていく、それらを先に進めて、徐々に時間をかけて理想形に近付けていこうという形に今変わってきている。だから、幾らあれば年金が賄えるという計算は今まだ出来ない。

  当時はまた、3分の1から2分の1へは税ではなくて節約で埋めると言っていた。それが1%で、当時の計算には実は入っていなかった。したがって、民主党がかつて言っていた年金改革を完全にやるためには相当な財源が必要であるということは事実であり、官房長官の話は、それは特に奇異な話ではない。

  いくら野田首相が「税と社会保障の一体改革」と叫ぼうとも、肝心の年金を含めた社会保障の改革案が定まっていない中では、先ず最初に「増税ありき」と言われても止むを得ない。この問題についての野党に対する「協議要請」もまったく論外である。議会制民主主義においては、政府与党が成案をつくり国会で堂々と論議すべきである。最初から出口(国会通過)を確保するような姑息な手段は許されないと知るべきであろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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