武田薬品、欧米で約2800人を削減 Nycomed社買収に伴い事業体制を変革
2012年1月18日 22:53
武田薬品工業は18日、本日開催された取締役会において、欧州および米国を中心とする海外連結子会社における2015年度までの従業員数の削減計画と、事業拠点の統廃合をはじめとした事業運営体制の合理化策を決議したと発表した。
従業員数削減計画の対象者は、欧州を中心とした連結子会社の従業員や、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社の従業員など。実施人数は、欧州を中心とした研究開発、販売、一般管理の機能に従事する約2,100人と、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社の販売機能を中心に約700人で、合計約2800人。実施期間は2012年1月~2016年3月。
また、主な事業拠点の統廃合については、欧州を中心に、重複する機能・拠点の統廃合(連結子会社間の合併、連結子会社の解散を含む)を実施する。
武田薬品は、昨年9月にNycomed A/S(本社:スイス、チューリッヒ)の買収を完了し、武田薬品が高いプレゼンスを有する日本および米国の事業に、Nycomed社が広く自社販路を有する欧州および高い成長を続ける新興国の事業基盤を加えた。また、Nycomed社との融合を通じて、真のグローバル製薬企業となるために、事業運営体制とガバナンスのさらなる強化を目的としてChief Medical & Scientific Officer(所在地:米国イリノイ州)とChief Commercial Officer(所在地:スイス、チューリッヒ)を設置した。
今回の合理化策は、Nycomed社の買収により70カ国以上にプレゼンスを有することになったタケダのグローバルな事業運営体制を、スリムで強靭な体制に変革するもの。
このため、Nycomed社の販売事業基盤を通じて、タケダは多くの地域において売上シナジーを発揮させるとともに、欧州等、一部、重複する事業が存在する地域において、これを整理・統合する。また、治療パラダイムを変革し、患者のニーズに応える画期的な新薬を創出するため、重点疾患領域に社内外のリソースを効果的に投下できる研究開発に関連する事業基盤を整備する。
さらに、Nycomed社の統合後、タケダは販売面において、代謝性疾患、消化器系疾患、癌、循環器疾患、中枢神経系疾患、免疫・炎症性疾患、呼吸器系疾患、疼痛管理の疾患領域にわたり、強いプレゼンスを有することになることから、今後、事業環境の変化に伴い、高収益をもたらしタケダの業績を牽引してきた大型製品を中心とした製品構成から、市場のニーズに応える新製品を中心とする多様性ある複数の製品ポートフォリオへと転換し、これを支える効率的・機動的な販売活動の展開を可能とする営業体制を構築する。
今回の施策の実施により合理化に必要となる費用として、2011年度から2015年度までの累計で約700億円を見込んでいる。一方、コスト削減効果としては、2011年度から2015年度までの累計で約2,000億円を見込んでいる。欧州での削減効果については、当初2014年度に約300億円を公表していたが、現時点では約400億円を想定しており、当初見込を上回る効果が期待できるものと考えているという。
なお、今回の施策の実施に伴う2011年度連結業績への影響額は、現時点で約350億円の減益を見込んでいるが、今回の件を含めた2011年度連結業績見込みについては、その他の業績変動要因も精査した上で、2012年2月1日に公表を予定している第3四半期決算とあわせて報告するとしている。
また、今回の合理化策については、各国における法の定めに従い、従業員代表との協議を前提としており、本日より協議を開始する。武田薬品グループでは、合理化策により影響を受ける従業員には十分な支援プログラムを提供する予定。また、重複する機能・拠点の統廃合の具体的な合理化策については、「今後、適時適切に公表していく」としている。