「不確定性原理」を破る「小澤の不等式」、実証される
2012年1月16日 19:30
Aluminum-Carbideおよびinsiderman 曰く、 ハイゼンベルクよって1927年に提唱され、量子力学の基礎原理とされている「ハイゼンベルクの不確定性原理」が、常には成り立っていないという実験結果が公表された(読売新聞、Nature Physics掲載論文)。
日経サイエンスに分かりやすい解説が掲載されているが、「小澤の不等式」はハイゼンベルクの不確定性原理を否定するものではなく、より正確に現象を表すものとなる。
不確定性原理というのは、量子力学おいては物体の位置と運動量を同時に厳密に測定することはできない、というもの。位置を正確に測ろうとすると運動量の測定結果は不正確になり、逆に運動量を正確に測ろうとすると位置の測定結果は不正確になる、とされている。
一方、「小澤の不等式」では物体には「量子ゆらぎ」という性質があり、この概念を利用すると位置と運動量の両方を正確に測ることができる、という考えが導入されている。
実証を行ったのは、ウィーン工科大と名古屋大の研究チーム。原子核を構成する中性子について、「片方を測定するともう片方の乱れが大きくなる」というスピンの成分を測定、ハイゼンベルクの式が成り立たないことを証明した。これにより「小澤の不等式」の正当性を示せたという。
この成果は基礎科学の発展にとどまらず、ナノサイエンスの新たな測定技術、重力波の検出、量子暗号の開発への応用が期待できる。
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