NECが1万キロの超長距離大容量伝送に光スーパーチャネル技術で成功
2012年1月11日 11:00
NECは光スーパーチャネル技術を用いることにより、1光波長あたり毎秒1テラビットの大容量信号の、1万キロメートルを越える超長距離伝送実験に成功。これは、1光波長ごと、つまり単一の光源より生成された1テラビット光信号の超長距離伝送としては、世界で初めての実証例となる。今回の実験では、1テラのスーパーチャネル信号を4波長多重することにより、毎秒4テラビットの総伝送容量を達成。これにより、光スーパーチャネル技術を適用することにより、大容量信号の大洋横断に相当する超長距離伝送が可能であることを実証する。
光スーパーチャネル技術とは、従来は一つの周波数領域に一つの信号しか乗せる事が出来なかったものを、個々のサブキャリア信号の位相(周波数の波形の周期)をずらして同一の周波数領域で複数の信号を重ね合わせることを可能にしたもの。このため、周波数帯域を効率良く使用できるとともに、単一の光源あたりの伝送速度を高速化することができる。今回の実験では、従来のエルビウム添加光ファイバアンプやDP-QPSK変調技術に加えて、コア拡大超低損失ファイバ、デジタルコヒーレント受信技術などを採用した最先端ハードウェアを組み合わせることにより、飛躍的な大容量伝送を確保していく。
この研究は、米国プリンストン市のNEC Laboratories America, Inc.にて行われており、11月下旬に上海で開催されたAsia Communications and Photonics Conferenceで発表されたもの。なお、NECは既に、毎秒40ギガビットの光波長多重方式に対応した商用光海底ケーブル用端局装置を納入。既設の大規模光海底ケーブルシステムにおいて、現状の最大4倍となる毎秒40ギガビットの光波長多重化方式が採用されるのは、世界で初めてだという。このように、光伝送の研究開発、実用化においては最先端の技術力を有している。
NECは、過去30年以上にわたり、世界の海底ケーブル市場でトップクラスの実績を有しており、日本を含むアジア・太平洋地域を中心に世界中の主要海底ケーブルシステムを構築。今後も光海底ケーブルシステムビジネスを強化し、グローバルに事業展開していく。