TSIインターナショナル・G:スティーブン・ハギンズ社長に日本でのランドバンキングの反応を聞く

2012年1月5日 13:35

★強い経済力で注目強まるカナダの『ランドバンキング』

 安定した政治と強い経済力から注目度の高まっている「カナダ」。親会社がカナダのトロントで「ランドバンキング」を手がける日本法人TSIインターナショナル・グループは、日本・アジアでの顧客数を大きく伸ばしている。日本にランドバンキングを紹介して10数年となるスティーブン・ハギンズ社長に日本でのランドバンキングの反応を聞いた。(写真左・ハギンズ社長、右・藤本直孝副社長)

――昨年(2011年)の世界は大激動の年でした。その中で、「カナダ」は、どのような状況でしたか。

 【ハギンズ社長】 昨年は日本で東日本大震災、ヨーロッパで金融不安が発生するなど、世界は激しい年でした。こうした中で、「カナダ」は政治、経済ともに安定し堅調でした。5月には国政の連邦選挙が実施され、保守党が過半数を占め勝利しました。とくに、世界では、最近、目まぐるしく政治のトップが交代するなかでカナダは1993年から首相は3人しか変わっていません。政治は安定しています。経済についても、カナダ中央銀行が発表した2011年の経済成長率見通しは主要7カ国で最も高い2.9%です。とくに、リーマンショック後の2009年6月以来、カナダは主要7カ国中で最も堅調な雇用の回復をみせています。教育産業の活発な雇用により2011年9月には直近8ヶ月において最多の雇用増を記録し、失業率も2008年以来最も低い水準となっています。こうした強い経済を映してカナダ・ドルは非常に強い動きとなっています。

――そうした強さはどこから来るのでしょうか。カナダの国民性、産業など基本的な点について少しご紹介ください。

 【ハギンズ社長】 カナダの国民性は「自由」、「公平」、「協調」をたいへん重視しています。広い国土と豊富な天然資源に恵まれているため平和を愛し、他のものを受け入れる寛容性があります。私は日本に来て10数年になりますが、日本人の「協調性」とカナダ国民の協調性はやや違うと思いますね。産業は林業、鉱工業、石油及び天然ガスなどのエネルギー産業、農業、漁業など天然資源産業を基盤とし、通信、バイオテクノロジー、宇宙技術、医薬産業の先進国としても知られています。カナダはアメリカ合衆国及びメキシコと共に北米自由貿易協定(NAFTA)の一員です。

――御社の親会社がビジネスを展開されているオンタリオ州の状況はいかがですか。

 【ハギンズ社長】 カナダ政府は連邦政府、州政府、地方自治体の3段階で組織されています。われわれの本拠地があるオンタリオ州トロントは、カナダの経済活動と英語圏文化の中心をなすカナダ第1位、北米でも第5位の大都市で、「大トロント圏」(GTA)を形成しています。カナダGDPの約40%を占めています。大トロント圏はニューヨーク、シカゴに次ぐ、北米第3位の巨大金融センターで国内銀行や外資系銀行のほとんどが本社をトロントに置いています。日本との関係も密接で、トロント商工会議所に登録されている日系企業はトヨタ、資生堂、ソニー、ヤマト運輸など130社を超えています。とくに、トヨタ自動車は2011年7月にオンタリオ州ウッドストック市とケンブリッジ市にある製造工場2ヶ所に総額5億4500万カナダ・ドル(約452億7000万円)を投資することを明らかにしました。連邦政府、州政府はそれぞれ最大で7080万カナダ・ドルの支援を行う見通しです。日本企業にとっても有望なビジネスの地域です。政府が推奨している移民政策(年間20~25万人)でカナダに移住した人々の約50%がオンタリオ州にやってきます。さらに、今後20年間で300万人以上の人口増加が見込まれています。このため、大トロント圏及びその周辺は今後も住宅や雇用の増加が見込まれる地域です。今後も当社は大トロント圏やその周辺地域で「ランドバンキング」及び「都市再開発」の事業に力を入れていきます。

――日本にいらした当時を振り返っての印象はいかがですか。

 【ハギンズ社長】 私が1999年に初めて日本でランドバンキングを紹介した頃は、日本の皆さんは関心を示されましたが、契約までには至りませんでした。全国で地道にセミナーを開催した努力と最近の世界的な金融不安や株式マーケットの低迷などもあって、日本の投資家の方々が海外へ目を向けられるようになっています。とくに、昨年は金融機関の関心度が高くなった年でした。ランドバンキングは高い収益性を持つ実物資産で王族、富裕層など一部に限られた投資でした。日本では大手不動産会社や電鉄会社などに代表される大手企業に独占されてきました。このランドバンキングを個人でもできるような仕組にして日本のお客様にも提供できるようにしました。2004年にアジアにおける本拠地としてTSIインターナショナル・グループ株式会社を日本に設立、2011年1月に東京のオフィスを移転してオフィスの規模は3倍になりました。昨年は飛躍の年でした。

★日本の顧客1000人に、中国富裕層も熱い視線

――顧客数はどのくらいですか。

 【ハギンズ社長】 クライアントは世界で4000人超です。このうち日本の顧客は約1000人、中国は30人程度です。日本の1人当り平均投資額は5万カナダ・ドル。中国は富裕層中心に1人当り平均15万カナダ・ドルです。

――昨年のハギンズ社長は日本より海外が多かったようですね。海外にはどのくらい出掛けましたか。

 【ハギンズ社長】 大変忙しい年でした。正確ではありませんがカナダに6~7回、香港に12~15回、中国本土に4~5回、シンガポールに4~5回、マレーシアに3~4回、インドネシア1~2回、アメリカ1~2回です。もちろん、国内でも北海道から九州まで全国でセミナー開催や金融機関等を訪問しました。今年はカナダ、日本、中国を重点地域に絞りたいと思っています。頭文字を採って『CJC戦略』と名づけています。とくに、日本では金融機関との連携をいっそう強化したいと思っています。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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