「主要指標でみる2011年相場」と「2012年相場展望」

2011年12月31日 19:57

★「復興本格化」と「公共投資復活」で内需主導相場を予想

■強いドルで輸出株にも反発の芽

  2011年の指標(昨年12月末と今年12月末比較)が、軒並み下落となった中で、いくつかの特徴がみられる。今年の指標の動きから2012年の相場を展望した。

【2011年の指標の特徴】

・「大型株指数」、「TOPIX」など主力大型銘柄の下げが大きい。 ・「小型指数」、「ジャスダック平均」など小型銘柄の下落率は比較的小さい。 ・株価指数に比べ、「出来高」、「時価総額」などボリューム指標の下落の大きいことが目立つ。 ・「1株利益」(日経平均)は、下落率が小さく、企業業績は堅調だった。 ・「日経平均」、「上海総合指数」が20%ていど下落となった中で、「NYダウ」は上昇した。 ・対ドル、対ユーロで「円高」が進んだ。 ・個別代表銘柄では、原子力事故で「東京電力 <9501> 」が10分の1に暴落。粉飾決算で「オリンパス <7733> 」も株価が半分以下に急落した。 ・「トヨタ自動車 <7203> 」、「新日本製鐵 <5401> 」、「三菱商事 <8058> 」、「コマツ <6301> 」、「野村ホールディングス <8604> 」など海外組の下げが目立った。 ・「ダイハツ <7262> 」、「アサヒグループホールディングス <2502> 」は上昇となり、内需関連株の一角に強さがみられた。

【2011年相場の背景】

  2011年の「国内」は、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ、電力節約などで、消費と生産が停滞。「東日本地域」の不振が目立った。西日本地域は九州新幹線の営業開始、JR大阪駅ビルオープンなど、総じて堅調だった。

  一方、「海外」では、ユーロ圏の財政悪化による信用不安が世界経済を圧迫。とくに、中国、ブラジルなど新興国経済の成長にブレキーがかかり、日本の新興国関連銘柄も大きく下げた。こうした中で、経済が回復したアメリカは、NYダウが上昇となっていることが特筆され、2012年への期待を抱かせる。

【2012年相場の展望】

■公共投資も久々に期待

  2012年はどう展開するか。「国内」では、東日本大震災の復興が本格化する効果が見込める。原発の放射能問題も最悪期を過ぎ、自粛傾向の続いた消費にも回復の兆しがみられる。また、「セメントから人へ」政策の見直しで、治水ダム、新幹線など公共投資も久々に期待できそうだ。

  建築土木株、道路橋梁株、セメント株、住宅株などの「復興関連銘柄」、「公共投資株」に対する本格的な見直しが見込めそうだ。消費関連株にも浮上が期待できそうだ。とくに、ロンドンオリンピックで旅行関連、航空株なども注目されるだろう。ただ、東海沖大地震が起きないという条件はつくが。

  「海外」では、ヨーロパの信用不安の行方がいちばんのポイント。仮に、ユーロ不安が続くようなら、新興国関連銘柄や欧州向け輸出の多い国内銘柄は引き続き低迷が続くだろう。反対に、ユーロ不安にめどがつくようだと、中国など新興国経済にとってプラスとなり日本の中国関連株、ヨーロッパ向け輸出の多い輸出関連株も急反発に転じるだろう。

■日経平均は1万円台も

  こうしてみると、2012年前半は海外の不安定材料を引きずるものの、復興、公共投資、消費など内需組に徐々に明るさが加わるものとみられる。とくに、堅調な企業業績に対し、次期(2013年3月期)見通しに期待が出れば相場は5~6月に一気に上昇となるのではないか。

  また、冷戦終了後、多極化した世界において、再び、アメリカに対し世界のリーダとしての役割を求めるようになればドル高=NYダウとなって、同盟国の日本にとっても浮上が期待される。2012年のマーケットは、かなり強い展開が予想される。日経平均の1万円台は期待できそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【銘柄診断】トヨタ自動車はダメ押しから出直りへ、今期業績は大幅増額の公算(2011/12/31)
【株式市況を検証】日経平均株価、TOPIXとともに4週ぶりに上昇(2011/12/31)
プロの記者が急騰銘柄を徹底予想!日刊株式投資情報新聞(無料)メルマガ登録受付中!(2011/06/08)
犬丸正寛の相場格言~データでは説明できない先人の知恵をもとに株式投資で大成功~(2011/08/10)

関連記事

最新記事