東芝とIHI、可搬型の放射能汚染水処理システムを開発 トレーラー等で移動可能
2011年12月22日 20:57
東芝とIHIは22日、可搬型の放射能汚染水処理システム「SARRY-Aqua」を共同開発したと発表した。2012年1月から東芝が中央官庁や地方自治体などと、同装置を使った活動について協議していく。
「SARRY-Aqua」は、福島第一原子力発電所で稼働する汚染水処理装置「サリー」を小型化したもの。「サリー」はセシウム除去性能、保守性、被ばく低減効果に優れ、8月の運転開始以降、高い処理能力と高稼働率を実現している。「SARRY-Aqua」は、その安定稼働を実現する装置構成と高いセシウム除去性能を踏襲しつつ、処理装置一式を小型化し、国際標準の小型(20ft)コンテナに搭載することで、トレーラー等により移動可能とした。
具体的には、「SARRY-Aqua」は、低濃度の汚染水をポンプで汲み上げ、吸着材が入った容器の中で汚染水から放射性セシウムを除去する。サリーの技術をベースとしているため、機器構成がシンプルで、ポンプやモーターなどの動的機器を減らし、故障の少ない、安定した稼働を可能としている。
また、セシウムなどの放射性物質を取り除くための吸着材を格納する容器内部には遮へい体を設置しており、安全性に配慮した構造となっている。処理能力は、汚染水1トン(1m3)を1時間で処理することができ、処理した水の放射性セシウムの濃度は、10ベクレル/キログラム以下にすることが可能。
放射性セシウム吸着材を収納した容器は汎用の200Lドラム缶であり、フォークリフト等で容易な取扱いが可能。さらに、処理装置をトラックに積載することで移動が可能となり、様々な場所で、放射性セシウムを含んだプール水や農業用水、除染で発生した水等の処理を行うことができる。