【外国為替市場展望:ユーロ・円相場】ユーロ売り圧力が強い状況に
2011年12月18日 10:20
【外国為替市場フューチャー:12月19日~23日のユーロ・円相場】
■欧州各国の国債格付け引き下げに対する警戒感でユーロ売り圧力継続
来週(12月19日~23日)(23日の東京市場は休場)のユーロ・円相場については、欧州主要各国の国債格付け引き下げに対する警戒感で、ユーロ売り圧力が強い状況が続きそうだ。欧州各国の国債格付け引き下げに関する格付け会社のコメント、欧州各国の国債入札や流通利回りの動向が焦点だろう。
前週(12日~16日)は、欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が広がったことを受けてユーロ売り圧力が強まった。ユーロ・ドル相場では約11カ月ぶりに1ユーロ=1.29ドル台にユーロが下落する場面があり、ユーロ・円相場も1ユーロ=101円台前半に円が上昇した。前週末16日の海外市場では概ね1ユーロ=101円10銭近辺~80銭近辺で推移し、終盤は1ユーロ=101円50銭近辺だった。
ユーロ圏債務危機問題に関しては、8日~9日のEU首脳会議で財政規律強化に向けた新たな財政協定、IMF(国際通貨基金)に対する融資、ESM(欧州安定メカニズム)の前倒し稼働などを合意したが、格付け会社による欧州各国の国債格付け引き下げ観測が広がり、リスク回避の動きが優勢になった。すでにEU首脳会議前の5日と6日には、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がドイツやフランスを含むユーロ圏15カ国の国債格付けとEFSF(欧州金融安定基金)債の格付けを引き下げる可能性を発表していたが、12日には、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが12年第1四半期にEU加盟27カ国の格下げを検討する可能性を明らかにし、フィッチ・レーティングスもユーロ圏各国の格付けに対する圧力が高まったとの見方を示した。このためイタリアの10年債流通利回りが再び7%台に上昇するなど市場は警戒感を強めた。
またフィッチ・レーティングスは、14日に欧州の大手金融機関5行の格付け引き下げ、15日に欧米大手金融機関7行の格付け引き下げを発表し、16日には12年1月末までにイタリアやスペインなど欧州6カ国の国債格付けを引き下げる方向で見直し、フランスの格付け見通しについてもネガティブに引き下げるとした。さらにムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日、ベルギーの国債格付け引き下げを発表した。
引き続き、欧州各国の国債格付け引き下げに関する格付け会社のコメント、欧州各国の国債入札や流通利回りの動向に注意が必要だろう。今後の焦点は、メルケル独首相が強硬に反対しているユーロ共同債の導入や、ECB(欧州中央銀行)による重債務国の国債購入拡大に関する議論の動向となる。
当面の注目スケジュールとしては、19日のユーロ圏10月経常収支、欧州議会委員会でのドラギECB(欧州中央銀行)総裁の証言、20日の独12月IFO業況指数、独1月消費者信頼感指数、22日の英7~9月期GDP確報値、英7~9月期経常収支、米7~9月期GDP確報値、米11月シカゴ連銀全米活動指数、米11月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、23日の仏7~9月期GDP改定値、米11月個人所得・消費支出、などがあるだろう。また金利発表の予定はないが、21日~22日のECB理事会も注目されるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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