日産、愛知機械工業を株式交換で完全子会社化

2011年12月16日 21:45

 日産自動車と愛知機械工業は16日、本日開催の両社の取締役会において、2012年3月22日を効力発効日とする株式交換により、愛知機械工業を日産自動車の完全子会社とすることを決議し、株式交換契約を締結したと発表した。愛知機械工業1株に対して日産0.4株を割り当てる。

 愛知機械工業は、1949年の設立以来、1962年の日産との技術提携、1965年の資本参加を含む業務提携を経て、2000年には日産の連結子会社となった。現在は、日産とルノーが共通の世界戦略エンジンと位置づける小型エンジンについて、一部の開発機能を有する国内生産拠点であると同時に、同エンジンの世界生産展開におけるマザー工場・部品供給拠点として、また、日産グループにおけるマニュアルトランスミッションの唯一の開発・国内生産拠点としてグループの成長に大きく貢献している。

 また、日産自動車のフラッグシップ・カーである日産GT-R用の高性能デュアルクラッチ・トランスミッションの製造を手がけ、さらに長年培ったギヤ加工技術を生かして、EV日産リーフ用の重要部品である減速機も製造しており、先進技術製品の生産機能という役割でもその重要性を高めている。

 今回の日産による完全子会社化により、今後、愛知機械工業は、従来の国内生産を主としたビジネス領域を拡大し、グローバルなパワートレイン製造会社として世界各国市場の顧客のニーズをいち早く把握してそれを満足するエンジン開発に参画する。また、海外での生産展開への取り組みを強化することにより競争力を向上し、日産の横浜工場、いわき工場と同様、日産グループ内で重要な役割を果たしていく。

 日産は、新規の市場とセグメントを含む世界市場での成長を加速させることを主眼に置いた、広範に亘る6カ年の中期経営計画「日産パワー88」を先日発表した。今回の愛知機械工業の完全子会社化は、この「日産パワー88」を達成するための戦略のうち、クオリティの向上、事業の拡大を通じた成長の加速化、及びコスト削減に、大きく寄与することになる。

 日産グループは、ますます激化する燃費競争の中で、厳しさを増すCO2規制に対応しながら、その性能・品質・コストで他社を凌駕するパワートレインの開発を加速することが求められている。また生産面においては、海外、特に新興各国への事業拡大を進めていくうえで、パワートレインの現地化を含め、各市場の要求にスピーディに対応していくことが今後の課題となっている。中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシアといった新興国市場で同時に事業の展開拡大を目指す為には、まさに今からグループ内の力を結集して取り組むことが必要となっている。今回の完全子会社化によって、これらの課題の解決の為に、日産と愛知機械工業の役割分担の見直しやグループ内のリソースの有効活用といった方策を、より迅速に実行に移すことが可能になることが期待される。

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