NEC、鉄鋼業界向けSCMソリューションの提供開始

2011年12月14日 11:00

 NECは鉄鋼業界向けのSCMにおいてコンサルからシステム構築・運用までの全領域を網羅し、同業界のサプライチェーンにおける在庫削減、在庫効率化、納期改革、操業効率化等に寄与する「鉄鋼業界向けSCMソリューション」の提供を開始する。同ソリューションは、鉄鋼業界向けSCMシステムの開発・販売でグローバルに実績のあるJDA社、同分野でヨーロッパを中心として実績のあるLOGIS社のパッケージを採用している。

 同ソリューションの最大の特長は、本社の事業計画から製鉄所の製造計画まで、鉄鋼業界のサプライチェーン関連領域全てを網羅していること。NECは鉄鋼メーカ向けに、JDA、LOGISのパッケージを組み合わせ、既存システムとの連携や移行を図るコンサル・SI提供を実施。また、同SCMソリューションと既存のERPシステムとの上位連携も実現する。

 鉄鋼業界は、製造工程や製鉄所、本社、商社、加工センター、最終需要家までのサプライチェーンが非常に複雑で特殊。また、鉄鋼メーカを取り巻く経営環境の変化(原材料価格の高騰、海外メーカとの競争激化等)により、利益確保への体質改善が急務となっている。更に近年の最終需要家(自動車、電気、建築、造船)のニーズの多様化・高度化に対して柔軟に対応することが、競争力確保のための必要条件となっている。

 従来、大手製鉄所では、汎用コンピュータの個別SIによるシステムが製鉄所ごと、また業務ごとに、長年にわたり多数稼働しており、これらの保守メンテサービスも複雑化している。このような環境の下、小ロット・短納期・安定品質・低コスト、納期遵守を同時に実現する、柔軟で合理的な仕組み作りが必要となっており、同業界の特性を取り入れたSCMソリューションへのニーズが高まっていた。「鉄鋼業界向けSCMソリューション」は、このようなニーズに答えるべく鉄鋼業界向けSCM分野のトータルソリューションとして製品化したものだという。

 JDA社のパッケージは、鉄鋼業界各社の本社や製鉄所、工場が、それぞれの事業環境・生産環境のニーズに応じて、モジュール単位の組み合わせでシステム構築することができるため、コストを削減しながら柔軟なシステム利用が可能。具体的な導入効果としては、在庫削減、スムーズな計画変更、納期遅延の改善で20から30%程度のコスト削減効果を見込んでいる。また、LOGIS社のパッケージは、高機能な製造計画システムを迅速に開発するためのカスタマイズフレームワーク、最適化アルゴリズム、伝達エンジン等の鉄鋼業界向けのライブラリを豊富に有しており、顧客ニーズにきめ細かく対応が可能。なお、今後の日本におけるLOGIS社製品のSI提供・サポート力の強化のため、LOGIS社はこのほど、日本法人を設立している。

 NECは、鉄鋼業界向けにJDA社、LOGIS社と共同セミナーの開催を企画。また、同業界のノウハウを備えたコンサル・SE要員を拡充していくなど、鉄鋼業界向けソリューションの提供体制を順次強化しており、今後、各社の高炉製鉄所、電炉工場に対して3年間で30システム以上の導入を見込んでいる。

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