神戸製鋼、溶銑処理能力と厚板熱処理能力を増強 総投資額約360億円

2011年12月9日 17:02

 神戸製鋼所は8日、製鉄所の競争力強化へ向け、加古川・神戸両製鉄所の溶銑処理能力及び加古川製鉄所の厚板熱処理能力をそれぞれ増強すると発表した。総投資額は約360億円。これら一連の投資を通じ、鉄鋼事業部門におけるオンリーワン製品の売上高比率を、2015年度を目処に50%に引き上げていく考え。

 鋼材の代表的なオンリーワン製品である自動車用高張力鋼板(ハイテン)、スチールコード、軸受鋼などは、一般的な鋼材と比較して高い清浄度が要求されることから、溶銑処理によって硫黄やりんを低減(脱硫・脱りん)する必要がある。また、厚板で今後拡販に注力していく分野の一つであるエネルギー関連向け鋼材(タンク・圧力容器、ラインパイプ向け等)の多くは、同様に脱硫・脱りん処理の必要があると同時に、圧延後の熱処理が必要となる。

 今回の一連の投資により、溶銑処理能力及び厚板熱処理能力が大幅に向上し、オンリーワン製品の更なる拡販に向けた製鉄所の製造体制強化が実現する。一方、溶銑処理能力の増強に伴うコストダウンの観点では、脱硫・脱りん時の反応効率向上により石灰等の副原料使用量が大幅に削減でき、鉄歩留が改善される。また、硫黄やりんが比較的多く含まれる低品位原料の使用量増加が可能となることも含め、両製鉄所合計で年間約100億円のコストダウン効果を見込んでいる。

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