GMと帝人、量産型自動車向け炭素繊維複合材料製品を共同開発
2011年12月9日 11:46
帝人は9日、米ゼネラルモーターズ(GM)と同社が、帝人が世界に先駆けて開発した、1分以内のタクトタイムで熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRP)によるコンポジット製品を量産する技術を活用することにより、今後GMが世界で市場展開する乗用車、トラック、クロスオーバーなどの量産車に向けて共同で熱可塑性CFRPの製品開発を行うことで合意し、12月8日(米国時間)に契約を締結したと発表した。
世界的に環境規制の強化が進み、燃費効率の向上が求められる中、自動車の軽量化に対する要求はますます高まっており、従来の金属に代わる軽量部材として、CFRPが注目されている。炭素繊維は、通常の鉄に比べて10倍の強度と4分の1の軽さを有することから、熱可塑性CFRPが車両の部品に使用されることで、劇的な車両の軽量化が期待できる。また、燃費効率の向上や従来型の車両と同等の安全性が期待される。
しかし、従来の熱硬化性樹脂を用いたCFRP製造技術は、その成形に要する時間や生産性の面から、量産車向けの部品として使用するには課題があった。そのため、量産車向けの部品製造技術を実現するものとして、1分前後での成形が可能なCFRP製造技術が求められていた。
こうした中、帝人グループは、今年3月に帝人複合材料開発センターと、炭素繊維・複合材料事業の中核会社である東邦テナックスとの連携により、熱可塑性CFRPを1分以内で成形する画期的な量産技術を世界に先駆けて確立した。
今回の共同開発により、GMは、主力車種に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を導入するポテンシャルを持つことになる。一方、帝人は、これまで一部の高級車などに限られてきたCFRPの用途を量産車へと拡大することができ、これまで成し得なかったCFRP製コンポジット製品による量産車の大幅な軽量化の実現、および構造骨格材としての採用の加速に向けて大きく前進することになる。
また、今回の共同開発契約締結に伴い、帝人は共同開発の場として、複合材料の用途開発機能とマーケティング機能を集約した「Teijin Composites Application Center(TCAC=帝人複合材料用途開発センター)」を、来年早々にも米国北東部に設置する。