今年倒産したホテル・旅館、震災関連増加で過去最悪のペースで推移

2011年12月9日 10:46

 帝国データバンクは8日、2011年1月~11月に倒産したホテル・旅館について集計・分析した調査結果を発表した。今回の調査により、今年のホテル・旅館の倒産は震災関連倒産が件数を押し上げ、過去最悪のペースで推移していることがわかった。

 調査結果によると、2011年4月、5月は2ヵ月連続で単月件数の過去最高を更新(2000年以降)。震災関連倒産は1月~11月で21件、全体の17.6%を占めた。「東北」の倒産件数は16件。うち震災関連倒産は7件と43.8%が震災関連倒産となった。また、アジアからの観光・ビジネス客の玄関口の「九州」・「中部」で増加が目立った。

 「日本政府観光局(JNTO)」の発表によると、2011年4月は訪日外客数(外国人観光客など)が最も落ちこみ、前年同月比62.5%減の29万5826人まで大幅に減少。「10月の訪日外客数は前年同月比15.3%減の61万5800人と減少幅は縮小しつつあるが、震災の影響は明らか」と帝国データバンクは指摘している。

 震災後の4月以降、首都圏を中心に、東日本のホテル・旅館では宿泊や宴会のキャンセルが相次ぎ、営業停止を余儀なくされる業者も増加し、震災関連倒産が頻発した。さらに、燃油特別負荷運賃(燃油サーチャージ)の上昇と、急激な円高なども外国人観光客離れに追い打ちをかけたという。

 直近では、「札幌グランドホテル」・「札幌パークホテル」を経営する(株)グランビスタホテル&リゾート(東京都中央区)も震災の影響で事業の再建が困難となり、12月1日に企業再生支援機構から支援を受けた。また、ホテル・旅館の建物にかかる「固定資産税」は、建築されてから年数が経過しても評価額が下がらないため、高額な「固定資産税」が重荷となり、経営不振に陥る会社は後を絶たないという。

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