IHI、ケーブルに触らずにEVを充電できる非接触給電試験用EVを完成 テスト開始へ

2011年11月22日 18:22

 IHIは22日、一般ユーザが電気自動車(EV)をより気楽に使える世界を実現するため、ケーブルに触らずに充電できる非接触給電装置を電気自動車に搭載し、実際の利用状況を想定したテストを開始したと発表した。

 これは、同社が米ワイトリシティ コーポレーションと共同で進めている非接触給電技術の商品化に向けた取り組みの第一歩となる。同社は、今年3月に、ワイトリシティと自動車向けおよび産業用途向けの非接触給電装置について共同開発を行うことで技術ライセンス契約をしている。

 今回、同社は、電気自動車の様々な車種や蓄電池に適合可能な非接触給電装置の車載側(受電)、地上側(送電)の装置の開発を進めるために、独自で受電装置を搭載した試験用の電気自動車を製作した。同時に、IHI横浜事業所(横浜市磯子区)内に送電装置を設置し、今後一年間程度の期間で、車両搭載時の①蓄電池特性とのマッチング、②位置ずれの許容範囲、③磁界分布、などについて、データを取得していく。現在、普通充電に相当する3.3kWでの非接触充電に成功している。

 非接触給電は、送電装置と受電装置が接近していれば電力を伝えることができる技術であり、ケーブルを引き回したりコンセントを抜き差しする必要がなくなる。ワイトリシティの非接触給電は磁界共鳴方式であり、3kWを超える電力を20cm離れて効率90%以上で送電可能なことが実証されており、同技術を用いることにより、ケーブル無しで電気自動車の充電を可能にし、電気自動車の利便性を高めることができる。

 IHIは、自社製品向けの電気制御装置を開発してきた経験を活かし、今後、同試験と並行して、三菱自動車工業を初め自動車メーカーと協力し、非接触給電装置の車載側の開発、および、社会インフラ分野でのIHIの知見を生かし、充電ステーションに向けた非接触給電装置の送電装置の開発を進めており、非接触給電装置の車載側(受電)・地上側(送電)双方のサプライヤーとなることを計画している。

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