TOPIXの下げに日経平均が、どこまで踏ん張れるか注目=犬丸正寛の相場展望

2011年11月18日 17:38

★欧州金融不安拡大なら09年3月安値切る心配も

  来週(21~25日)は、『日経平均の動きを試す展開』が予想される。既に、TOPIX(東証株価指数)は年初来安値を更新、2009年3月の安値水準に近づいている。日経平均は年初来安値をつけることなく踏ん張っている。しかし、新安値銘柄が増える中で、日経平均がどこまで踏ん張ることができるか、注目される。

  TOPIXは、3月の震災時下げでつけた場中安値725ポイントを10月5日に724ポイントと、一度は割り込んだ。そのまま崩れるかと見られたものの、そこを下値に11月1日には761ポイントまで5.1%反発した。しかし、戻りの強さの目途となる10%上昇には達せず、再び下げに転じ、17日(木)には717ポイントと安値更新へ沈んだ。10月5日の724ポイントが、『鬼より怖い一文新値』の安値場面となって、結果としては「売りシグナル」だったわけだ。

  一方、日経平均は3月の震災時下げでつけた安値8227円(3月15日)に対しては、現在まで一度も下回っていない。18日(金)時点においても3月安値より約140円上にある。

  両指数の計算の基となる銘柄数に違いがあるためだ。TOPIXは東証1部全銘柄、日経平均は東証1部の中の225銘柄が計算の対象。NYダウは計算対象が、わずか30社で、常に、「強い銘柄」だけが選ばれている。日経平均はNYダウほど銘柄数を絞っていないものの、基本的には、甲子園出場の強い高校野球チームのようなものといえる。とくに、TOPIXは「金融」と「建設」の影響を受けやすい。金融、建設とも不振業種のため、指数が不振となることは当然といえば当然である。

  日経平均の予想PERは13倍台と、まだ企業業績の影響は、さほど現れていない。しかし、実体としての印象は、「企業業績」はかなり悪い。とくに、日経平均採用銘柄には、このところ年初来安値更新銘柄が目立って増えている。つまり、PER面には企業業績の悪化は、まだ表面化していないものの、株価面では安値を更新する銘柄が続出する形で先見性を発揮しているものとみられる。

  TOPIXは、リーマンショック後の安値である2009年3月の698ポイントへ急接近、日経平均も無傷というわけには行かない雰囲気となりつつある。さらに、もしも、TOPIXが2009年3月安値を切るようだと1990年以降では、まったく下値のフシがなくなってしまう。

  2009年3月安値を維持できるかどうかは、(1)ヨーロッパの金融不安が終息するかどうか、(2)日本の民主党政権が株式マーケットの重要性を認識して活性化策を採ることができかどうかがポイントである。株式マーケットは、「大切な国民の共有財産」である。個人投資家も財産をそこに託している。そのマーケットが危機的なところに来ていることを政府は認識すべきである。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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