三井造船、子会社でゼオライト膜製造システムが本格的な操業を開始
2011年11月17日 11:00
三井造船は、ゼオライト膜脱水装置事業の増強のため、本年4月に子会社、三井造船マシナリー・サービスに全面移管したが、同社大阪事業所で構築中だった新たなゼオライト膜製造システムがこのほど完成し、本格的な操業に入った。 同社は、電子部品産業等で精密製品の洗浄用に用いられるアルコールなどの有機溶剤(IPA)や、食品、薬品、化学会社での製品エタノール、環境面で次世代燃料として注目されるバイオエタノールの製造プラントの脱水プロセスで、非常に技術優位性の高いゼオライト膜脱水装置の製作を1998年以来、玉野事業所をベースに行なってきた。同社が独自に開発、実用化したゼオライト膜脱水装置は、膜分離技術の一つであるパーベーパレーション(PV:透過気化法)技術を活用したもので、従来からの蒸留法に比べて、エネルギー消費の大幅な節約が可能で分離性能が高く、また、運転操作が容易なことから、顧客から高く評価されているという。 現在、バイオエタノール生産は、直接、間接に人間の食糧になるもの以外の植物を原料に用いる"セカンド・ジェネレーション(2G)"や"サード・ジェネレーション(3G)"の技術に移行。これらのカーボン・ニュートラルのバイオ燃料生産技術の普及拡大に伴う、高効率、高性能の脱水技術への需要の高まりの中でこの4月、設備拡張に制限のある玉野事業所から、三井造船マシナリー・サービス大阪事業所に設備を移転するとともに、そこで新規の設備投資を行ない、このほど最新の生産システムを完成させた。 特長としては、ゼオライト膜脱水装置の製作において技術的に最も重要かつ難しいところであるゼオライト膜チューブの製膜プロセスが完全自動化され、生産能力が倍増されたこと。これにより、本格的なバイオエタノール製造プラント用のゼオライト膜脱水装置組立てで必要とされる数千本の膜チューブを短期間に製作できるとともに、すでにバイオエタノール用やIPA用で多くの国内顧客や、フィンランド、リトアニア、イタリア、中国、シンガポール等の海外顧客に納めた機器のアフターサービスで必要な交換用膜チューブの納期も大幅に短縮できることになった。 すでに、営業、設計を含む基幹要員も三井造船マシナリー・サービスに移し、本格的な営業活動を展開、今後の大幅な事業拡大を見込んでいる。