三菱重工、福島第一原発の放射性廃棄物貯蔵設備の工事開始

2011年11月14日 13:14

 三菱重工業は14日、東京電力の福島第一原子力発電所に、滞留水処理の過程で発生する放射性廃棄物(廃スラッジ)を一時保管する貯蔵設備を納入するため、現地据付工事を開始したと発表した。

 東京電力では現在、福島第一原子力発電所事故の収束に向けた諸々の取組みがなされており、その中で重要な課題の一つとなっている1~4号機建屋内の高濃度の放射性物質を含む滞留水への対応として、水処理(放射能除去)設備と淡水化システムによる原子炉の循環注水冷却が行われている。今回の貯蔵設備は、その水処理設備のうち、除染装置で放射性物質を凝集沈殿させた際に発生するスラリー状廃液の廃スラッジを安定的に貯蔵するために設置されるもの。

 貯蔵設備は、壁厚約1mのコンクリート製セル室に設置されるスラッジ貯蔵タンク、オフガス(スラッジ貯蔵タンクからの排ガス)処理設備、換気空調設備、制御設備、ユーティリティ設備など多数の設備で構成される。スラッジ貯蔵タンクは厚さ25mmの鉄製の横置円筒型(直径3.2m、長さ約13.5m)で、廃スラッジ撹拌・水素掃気などの機能を合わせ持つ。タンク1基で廃スラッジを最大90m3貯蔵でき、8基(うち、1基は予備)を設置する。

 今回の貯蔵設備の納入にあたっては、東海再処理工場(茨城県東海村)、六ヶ所再処理工場(青森県上北郡)での高レベル廃液貯槽納入経験に基づく知見、また、国内外での多数のプラント建設で蓄積されたノウハウをシステム設計や建設工法などに活かして、同社の総合力を発揮して対応する。

 福島第一原子力発電所事故に関して、同社はこれまで、低レベル滞留水貯蔵のためのメガフロートの改造工事や、発電所内の瓦礫処理のための放射線遮蔽キャビン搭載大型フォークリフトの供給を行うなど、多様な支援を行ってきた。

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