「企業業績の悪化」を織り込む展開へ=犬丸正寛の相場展望

2011年11月11日 19:12

■「輸出関連企業」の業績が急速に悪化!

 来週(14~18日)は、『企業業績の悪化』を織り込む展開とみられる。9月の本・中間決算の主力どころの発表がほぼ一巡した。ソニー、パナソニックなどは、今3月期の最終損益が赤字見通しとなるなど、総じて、「輸出関連企業」の業績が急速に悪化している。

 EUの金融不安、中国など新興国の経済減速感、円高が響いている。たとえば、企業業績の悪化を現しているのが、日経平均の「予想PER」の上昇。日経平均は夏場水準とほぼ同じ位置にあるのに、PERは夏場の12倍台から現在は15倍台へ上昇している。

 PER=「株価」÷「1株利益」だから、夏場に比べ株価は同じでPERが上がっていることは1株利益が下がっていることである。つまり、企業業績が悪化し始めている。

 それでも今は、輸出株の不振を、輸出株以外の銘柄がカバーして、平均のPERは15倍台という姿だ。しかし、パナソニック<6752>(東1)、ソニー<6758>(東1)、オリンパス<7733>(東1)、トヨタ自動車<7203>(東1)などの輸出株を中心に保有して人にとっては、PERは15倍台ではなく、100倍以上という印象だろう。 ■どの時点で先行きの見極めがつくか?

 今後の見所は、トヨタ自動車が今3月期の見通しを「未定」としているように、先行き不透明なことに対し、どの時点で先行きの見極めがつくかである。トヨタでは、「円高」、「タイ洪水」の影響を業績「未定」の理由として挙げている。今後、とくにタイ洪水の影響は、上場企業の今期業績を押し下げる要因として表面化することが予想される。

 ヨーロッパもギリシャに続いてイタリアなどの財政不安が続いている。「借金問題」は、個人でも企業でも国家でも簡単には片付くものではない。とくに、「借金体質」という根本的な問題が解決されないからだ。

 「TPP」、「沖縄問題」も簡単ではない。これまで、アメリカ政府を蹴飛ばすような態度を取ってきた、日本の民主党政権に対し、アメリカは妥協することはないだろう。

 第3次補正予算が成立するのは、せめてもの救いではある。しかし、TPP、沖縄問題の行方次第では「解散」の可能性も否定できない。

 そうなれば、企業業績の先行きに不安がある中で、また政治空白となって、景気には悪影響。もちろん、解散があれば、新しい政権への期待は膨らむものの、その前に相場は、日経平均が3月の震災時下げでつけた安値(場中)8227円を見に行く可能性もあるだろう。とくに、このところの名門企業の相次ぐ株価暴落で中長期スタンスの買いが入り難くなっていることがマーケットにとっては痛い。

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6752.T&d=6m

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