楽天、カナダの電子書籍企業Kobo社を約236億円で買収

2011年11月9日 10:55

 楽天は9日、世界各国で電子書籍事業を運営するKobo Inc.(本社:カナダ トロント市)を完全子会社化することを目的とし、Kobo社の株式を取得することについて、本日開催の臨時取締役会において決議したと発表した。買収額は約3億1,500万米ドル(約236億円)となる。

 電子書籍事業については、楽天は現在、今年8月に電子書籍ストア「Raboo」を開設し、大手電機メーカーの対応端末への電子書籍コンテンツ提供を開始している。一方、Kobo社は、カナダ、米国、英国、フランス、ドイツ、豪州及びニュージーランドをはじめとしてグローバルに事業を展開しており、すでに100カ国以上にわたるユーザーに電子書籍コンテンツを提供している。

 Kobo社のビジネスモデルは各国の書籍販売や小売りにおける大手との提携を通じて顧客を獲得することに特徴があり、例えばカナダではIndigo Books & Music、英国ではWH Smith、フランスではFNACといった各国における最大の書籍販売チェーンと提携しているほか、Walmart、BestBuyといった優良小売業者等を通じた販売チャネルを構築している。

 また、Kobo社の電子書籍コンテンツは、同社の専用端末『Kobo eReader』からだけではなく、アプリを通じてiOS、Android、BlackBerry、Windows、Mac等のスマートフォンやPCなどからも読むことが可能で、様々なデバイスに対応したオープンな電子書籍提供モデルを展開している。言語についても、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、オランダ語に対応している。

 さらに、Kobo社は、同社が提供する、お気に入りのフレーズを友人と共有したり、同じ本を読んでいる人の感想を表示したりするソーシャル機能が好評を博しており、電子書籍事業者としては初めてFacebookとの提携を発表するなど、電子書籍のソーシャル化において市場をリードしている。

 楽天はKobo社を子会社化することにより、自社ブランドの電子書籍端末を持つだけでなく、北米・欧州を中心とした海外の出版社をはじめとする権利者や専用端末を販売する小売業者、製造委託先(ODM)などとのネットワークを得ることになる。

 また、楽天は、Kobo社のさらなる成長及び事業拡大を進めるとともに、日本をはじめ世界で展開する同社グループのEC事業等のサービスとの融合を図る。これにより、世界各国のユーザーに対し、多様なデバイスに対応したボーダレスなデジタルコンテンツ・プラットフォームと、新たな電子商取引サービスの提供を目指す。
 

関連記事

最新記事