大日本スクリーン、ロボットを自律的に動作・位置補正させるティーチングレスシステムを開発

2011年11月8日 10:25

 大日本スクリーン製造は7日、安川電機の協力を得て、産業用ロボットの動作や軌道のプログラムを自動的に生成し、視覚センサーにより部材を認識してロボットを自律的に動作・位置補正させるティーチングレスシステムを開発したと発表した。同システムの販売を2012年1月から開始する。
 
 従来、各種製造ラインで使用される組み立てロボットの動作を設定するには、プログラミングペンダント(ロボット操作用端末)を使って実際の動作手順を一つ一つ記憶させるティーチング(教示)作業が不可欠で、ロボットの1分間の動作を入力するためには長時間のプログラミング作業が必要となっていた。また、これまで産業用ロボットは大量生産ライン内での単純作業の工程で活用されてきたが、近年の消費者ニーズの多様化に伴い、多品種・少量生産に適したセル生産方式に大きな注目が集まるなど、ロボット作業の適用範囲の拡大や、新しい分野における自動化への期待が高まっている。

 このようなロボット業界の動向を背景に、同社は、長年培った画像処理技術や検査技術を応用し、視覚システムを中心としたロボット技術の研究を2008年4月に開始。今回、産業用ロボット業界で世界トップレベルの技術力と実績を誇る安川電機の開発協力を得て、ロボットの動作プログラムを自動生成し、カメラで部材を認識・位置補正するティーチングレスシステムを開発した。
 
 同システムでは、部材の3次元CADデータをパソコンに取り込むことにより、ロボットの複雑な動作プログラムを自動で生成できるため、プログラミングペンダントを使って行う煩雑なティーチング作業が不要。さらに、ロボットの動作軌道上にある部材の位置や姿勢を視覚センサーで立体的に認識し、組み立て部位の誤差補正を自律的に行うようロボットを動作させることで、正確な作業を実現する。
 
 これらにより、プログラミングに掛かる時間を大幅に削減できるほか、異なる部材が混載した場所からのピッキングも可能なため、従来の大量生産ラインに加え、これまで自動化が困難とされてきた多品種で複雑な作業工程を必要とするセル生産現場への、ロボット導入の推進を目指したシステムとなっている。
 
 「当社は、今回のティーチングレスシステムの開発を機に、ロボット関連分野への参入を図るとともに、ロボット技術の研究開発を通して新たな独創技術を確立し、産業界と社会の発展に貢献していく」と同社はコメントしている。

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