【外国為替市場を検証:ドル・円相場】ドル安・円高がジリジリと進行する展開

2011年10月29日 20:37

【外国為替市場フラッシュ:10月24日~28日のドル・円相場】

■27日の海外市場で1ドル=75円67銭まで円が上昇、ドル安・円高が進行

  10月24日~28日のドル・円相場は、ドル安・円高がジリジリと進行する展開になった。25日から27日まで3営業日連続で円の戦後最高値を更新し、27日の海外市場では1ドル=75円67銭まで円が上昇した。米FRB(連邦準備制度理事会)による追加緩和策観測が広がり、ユーロ危機に対する警戒感の後退でユーロ買い・ドル売りとなった流れも波及した。日本政府・日銀の円高対策や追加緩和策がインパクトに欠け、円売り市場介入に踏み切れないとの見方も強まった。

  ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末21日の海外市場では、一時1ドル=75円78銭まで円が急伸し、8月19日の海外市場で付けた1ドル=75円95銭を突破して戦後最高値を更新した。ユーロ圏の債務危機拡大阻止に対する期待感でユーロ買い・ドル売りとなった流れが波及し、大口のドル売り注文をきっかけに投機筋やロスカットを巻き込む形で、ドル売り・円買いが加速した。その後は円売り市場介入への警戒感でドルが買い戻され、終盤は1ドル=76円30銭近辺だった。

  この流れを受けて24日の東京市場では、1ドル=76円20銭台~40銭台でモミ合う展開となった。円売り市場介入への警戒感が強まり、前週末の海外市場に比べてややドル高・円安水準となった。9月の貿易収支が2カ月ぶりの黒字となったが市場の反応は限定的だった。24日の海外市場では、1ドル=75円90銭台を付ける場面があった。ダドリー米ニューヨーク州連銀総裁の「連銀は量的緩和第3弾(QE3)を導入することも可能」など、要人発言を受けて米FRBの追加緩和策観測が高まり、ドル売り・円買いが優勢になった。終盤は1ドル=76円00銭台~10銭台だった。

  25日の東京市場では、1ドル=76円00銭台~20銭台の小幅レンジで推移した。米FRBによる追加緩和策観測が広がり終盤はドル売り・円買いがやや優勢だった。25日の海外市場では、1ドル=75円73銭まで円が上昇し、21日に付けた1ドル=75円78銭を突破して円の戦後最高値を更新した。リスク回避の動きに加えて米FRBによる追加緩和観測が広がった。終盤は1ドル=76円00銭近辺だった。

  26日の東京市場では、1ドル=75円80銭台~76円10銭台で推移した。序盤は円売り市場介入への警戒感で小動きだったが、終盤にはドル売り・円買いが優勢となり、東京市場では戦後初となる1ドル=75円台に円が上昇した。26日の海外市場では、円買い圧力が強まり1ドル=75円71銭まで円が上昇した。25日に付けた1ドル=75円73銭を突破し、2営業日連続で円の戦後最高値を更新した。その後は27日の日銀金融政策決定会合で円高対策が打ち出されるとの観測が広がり、ドルが買い戻された。終盤は1ドル=76円10銭~20銭近辺だった。

  27日の東京市場では、1ドル=75円80銭台~76円20銭台で推移した。円売り市場介入への警戒感でドル買い・円売りが優勢になる場面もあったが、終盤はドル売り・円買いが優勢で1ドル=75円80銭~90銭近辺だった。ユーロ圏首脳会議では、ギリシャ債務減免に関して民間銀行の負担割合を50%とし、EFSF(欧州金融安定基金)の規模を1兆ユーロに拡大することに合意したが、ドル・円相場への影響は限定的だった。また日銀金融政策決定会合では、資産買入等の基金を50兆円から55兆円に増額する追加緩和策を決定したが、ほぼ想定どおりの内容だったことや、円売り市場介入が実施されなかったことを受けて、終盤のドル売り・円買いにつながった。27日の海外市場では、1ドル=75円67銭まで円が上昇した。26日に付けた1ドル=75円71銭を突破し、3営業日連続で円の戦後最高値を更新した。終盤は1ドル=75円90銭~76円00銭近辺だった。

  28日の東京市場では、1ドル=75円80銭近辺~76円00銭近辺で推移し、ドル売り・円買いが優勢だった。米FRBによる追加緩和策観測に加えて、ユーロ危機に対する警戒感の後退でユーロ買い・ドル売りとなった流れが波及した。28日の海外市場では、概ね1ドル=75円70銭台~80銭台で推移した。一時1ドル=75円68銭まで円が上昇する場面もあったが、やや手掛かり材料難となった。

  ドル・円相場に関しては、リスク回避のドル売り・円買い圧力、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入への警戒感などが交錯する形で膠着感を強め、重要イベントを通過しても動意に乏しい状況が続いていた。しかし、10月21日の海外市場で1ドル=75円78銭、25日の海外市場で1ドル=75円73銭、26日の海外市場で1ドル=75円71銭、27日の海外市場で1ドル=75円67銭まで上昇し、連日のように円の戦後最高値を更新するなど、ジリジリとドル安・円高方向に進む展開となっている。

  米FRBによる追加緩和策観測が広がる一方で、政府の円高対策や日銀の追加緩和策がインパクトに欠ける内容だったうえに、日本政府・日銀が円売り市場介入に踏み切れないとの見方も強まっている。11月1日~2日の米FOMC(連邦公開市場委員会)とバーナンキ米FRB議長の記者会見、11月3日~4日のG20首脳会議、そして11月4日の米10月雇用統計が注目点となるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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