今年度のオール電化住宅、震災の影響で昨年度より5万戸下回る 富士経済調査

2011年10月26日 12:18

 富士経済が25日に発表した、2011年度のオール電化住宅と創エネ・蓄エネ機器の動向調査の結果によると、2011年度のオール電化住宅は年間50.1万戸で、昨年度より5万戸下回り、2006年度の水準まで後退する見込みとなった。累計は485.5万戸で、普及率は9.7%となる見込み。一方、住宅用蓄電池市場は、前年度比13.1倍の850件となる見込み。調査は震災後の2011年5月~9月にかけて実施された。

 今回の調査結果に関し、東日本大震災によるオール電化住宅市場への影響について、富士経済は、「2011年3月11日に発生した東日本大震災により、住宅におけるエネルギー需要動向は大きく変化している。電力会社は、オール電化住宅を推進し、TVCMをはじめとする大々的な広告宣伝活動を行っていたが、震災以降は節電協力の呼びかけを行い、オール電化住宅の広告宣伝活動を全面的に自粛している」と報告している。

 また、ウィズガス住宅市場への影響については、「ガス会社はオール電化住宅に押される形で苦境に立たされていたが、既存顧客への訪問活動や、オール電化対抗の切り札と位置付けてきたエネファームの営業などにより、ガスから電力への離脱も徐々に鈍化し、震災を契機としてその傾向が一層強くなっている」と報告している。

 オール電化住宅市場が後退する見込みとなった結果の原因として、富士経済は2つの理由をあげている。1つは、震災直後からのオール電化機器の調達不足。機器の部品や原料メーカーの工場が被災し、4~6月頃まで供給が滞り、生産量が大きく減少した。「機器の供給が困難になったことにより、オール電化住宅数が減少した」と富士経済はコメントしている。なお、7月以降は機器の調達状況も改善しており、オール電化住宅数も既に増加に転じているという。

 2つ目は、既築オール電化住宅件数の減少。2011年は従来予測より7万戸強の減少が見込まれるという。「減少数の半分は関東エリアでの件数減少によるもので、特に原発事故・節電意識の高まりなどを背景としたオール電化へのマインド悪化などにより急減し、2012年度以降も市場への影響は残ると予測される」と富士経済はコメントしている。

 一方、他のエリアでも既築オール電化住宅件数の減少が見込まれるが、2011年度下半期以降前年度並みの水準に回復すると見られ、2012年度には震災以前の水準に戻ると予測されるという。

 さらに、富士経済は、「電力会社はエンドユーザー向けの広告宣伝活動を自粛する反面、ハウスメーカーや地元工務店等のサブユーザーへの提案活動を積極化している。また、サブユーザー側でもランニングコストなどオール電化住宅関連商品の評価は高く、従来の拡大姿勢に変化は見られない」とし、オール電化住宅の需要は減退していないとの見方を示した。

 加えて、「電力会社の推進により拡大してきたオール電化住宅市場は既に電力会社の手を離れつつあり、市場の成長は長期的トレンドとして今後も継続し、2020年度には国内の全住宅戸数の約2割がオール電化になると予測される」と述べている。

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