【今日の出来事&マーケット】オリンパス株急落の意味するものは何か?=犬丸正寛

2011年10月18日 18:17

■「代表取締役の解雇等決議」が嵐を巻き起こす!

  オリンパス <7733> が、14日(金)9時30分に発表した「代表取締役の解雇等決議」がマーケットに嵐を巻き起こしている。14日(金)のオリンパス株は450円安、17日(月)も500円安と暴落、さらに、この日(18日)も274円安の1281円と、2009年2月の安値1210円以来の水準まで下げた。10月13日(木)には直近高値2526円をつけていたから、わずか3営業日で49.2%の大幅下げ。

  オリンパス株に冷水を浴びせられた形となって、18日の日経平均は152円安と急反落した。とくに、マーケットでは、オリンパス社長の「解雇」という2文字に強く反応している。社長を解任されたのは、マイケル・シー・ウッドフォード氏。同氏は2005年にオリンパス・メディカル・システムの社長を務め、今年5月に同社社長に就いていた。同社の発表資料によると、「マイケル・シー・ウッドフォード氏と他の経営陣の間にて、経営の方向性・手法に関して大きな乖離が生じ、経営の意志決定に支障をきたす状況になった」ということだ。

  「外国人経営者をトップに据えれば、当然、考え方の違いは予想されていたはず。それを解任するということだから東日本大震災並みの想定外のことが起きたのだろう。多額の使途不明金で問題となっている大王製紙とは次元の違うもの」との見方も。もちろん、想定外のことが何かは、分からないが。

  最近、外国との問題ではスズキ <7269> もフォルクスワーゲンとの間で提携に関する違反の有無をめぐってモメている。スズキの株価は3月の震災時安値を大きく下回り、9月12日に年初来安値1468円をつけ不振。ライバルのダイハツ工業 <7262> が上場来高値となっているのとは対照的だ。

  グローバル化時代の進展とともに外国企業との間で、今後、こうした提携問題、国際訴訟問題、進出先での雇用問題、さらには今回のタイ洪水など、トラブル、リスク表面化が予想される。しかも、その場合、意外に株価への影響が大きいという悩ましさがある。

■リスクとリターンを見極める目がますます大切

  もちろん、リスクを恐れていては外には出てはいけない。狭い日本では食べていけない。ゴーン日産自動車 <7201> のように外国人経営者で業績を向上させ、株価堅調というところもある。国際訴訟関連のビジネスで業績を飛躍させているUBIC <2158> も存在感を高めている。

  ただ、これまで、どちらかといえば、グローバル展開についてはマーケットにおいての評価は良い点ばかりが目立ってきたことは事実。これからは、良いことばかりでなく、マイナス面も表面化することを、今回のオリンパス株価急落、ギリシャの金融不安、そして、これから業績への悪影響が予想されるタイの洪水などの出来事はマーケットに対し注意信号を点滅させていると見るべきだろう。

  個人投資家にとっては、グローバル化は企業にまかせておけばよいという考えだけでは通用しなくなった。とくに、これまでは国内中心に見ておけばよかった社会、経済について世界によりいっそう目を向けなくてはいけない時代。かつては、『遠くて知らないものには手を出すな』という教えを守っていればよかった。しかし、それでは、日本企業も投資家も成果を挙げることは難しくなっている。積極的に外に目を向け、学び、リスクとリターンを見極める目がますます大切となっている。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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