9月の景気ウォッチャー調査:右往左往する景気

2011年10月17日 21:19

 10月11日に内閣府から発表された9月の「景気ウォッチャー調査」。景気の先行き判断DI(※下部に説明あり)は前月より-0.7ポイントで、46.4へ。3ヶ月連続の減少となりました。構成比は「良くなる」が1.4%、「やや良くなる」が19.3%、「変わらない」が49.8%、「やや悪くなる」が22.5%、「悪くなる」が7.0%となりました。

 DIの内訳を見ると、「家計動向関連」では、小売関連が+0.9ポイントで44.8、飲食関連が+1.2ポイントで48.5、サービス関連が+0.2ポイントで48.7、住宅関連が-0.1ポイントで44.1。「企業動向関連」では、製造業が-2.0ポイントで44.9、非製造業が-5.1ポイントで44.6。「雇用関連」は-3.6ポイントで51.7となりました。

 判断理由を見ると、「良くなる(やや良くなる)」の理由には、「主力取引先の自動車メーカーの見通しでは、前年比120%近くの受注が出来そうだが、人員と電力不足が非常に顕著になってきている(輸送用機械器具製造業)」「電機などの弱電業界や、輸出関連企業からの受注は停滞しているが、医療やマンション業界のほか、介護付き老人施設などは動きが活発であり、低料金ホテルなども販売促進の動きが拡大している(出版・印刷・同関連産業)」「ウォームビズや節電関連消費が高まることから、先行きはやや良くなる(百貨店)」などが上げられています。

 一方、「悪くなる(やや悪くなる)」の理由には、「新穀が出始めるころには穀物の価格が上がり、販売原価の見直しができずに利益を削られて、相当に苦しい経営を迫られる(食料品製造業)」「海外向けの工作機械やモーターの部品を生産しているが、円高が今後も続くようなら、仕事を確保できなくなる。今後の売上は減少する(電気機械器具製造業)」「増税で所得の減る恐れが高まり、消費マインドの低下につながるため、消費全体が減少する(不動産仲介)」などが上げられています。

 相変わらず自動車業界の見通しは良好です。あと、今年の冬は節電ブームから保温性の優れた衣料の売上が例年より伸びそうですね。一方、家計は3月の震災の影響で穀物類や野菜などの価格が高騰して苦しくなりそうです。また、増税が具体的になってきて消費抑制の動きが出てきているようです。現在議論されている第3次補正予算が実社会に流れてくるのは、政治のごたつきで来年春にずれ込みそうですので、しばらくは景気も右往左往しそうです。

※景気の2~3ヶ月先行きに対する5段階の判断に、「良くなっている+1点」「やや良くなっている+0.75点」「変わらない+0.5点」「やや悪くなっている+0.25点」「悪くなっている0点」の点数を与え、調査時に判断理由とともに回答してもらい計算しています。調査対象は家計・企業・雇用を観察できる立場にある人々。調査期間は毎月25日から月末にかけて行われます。50が景気の転換点で、50を上回れば景気拡大、下回れば景気縮小の予想を意味します。

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