NEC、寿命を従来比2倍以上に向上するマンガン系リチウムイオン二次電池技術を開発
2011年10月17日 13:51
NECは17日、マンガン系リチウムイオン二次電池において、寿命を従来比2倍以上に向上する技術を開発したと発表した。
同技術は、新開発の添加剤を電池の構成要素である電解液に加え、従来のマンガン系正極/炭素負極の電極と組み合わせるもの。同技術を利用して、容量3.7Ahの積層ラミネート電池(65Wh/kg)を試作し、一般的な家庭のエネルギー消費パターンに基づいて寿命予測を行った。その結果、充電可能な容量が初期の70%に低下するまでの年数が、従来の約5年から約13年、同50%では約15年から約33年となり、2倍以上の長寿命化を実現した。
開発した電池技術は、家庭やビルへの設置だけでなく、より高い耐久性が要求される電力系統の安定化を目的とした大規模蓄電システムへの利用にも適している。
NECは従来から、安価で埋蔵量が豊富なマンガン系正極を用いたリチウムイオン二次電池を開発し、携帯機器や電動アシスト自転車などに適用してきた。しかし、高い耐久性が要求される定置用の蓄電池に用いた場合、繰り返し充放電を行うことで、「電解液の溶媒が分解されて負極上に皮膜が形成される」、「正極のマンガンが除々に電解液へ溶出する」などにより電池の抵抗が高くなり、容量が低下するなどの課題があった。
これまでマンガン系正極/炭素負極の電池おいて、電解液に添加剤を用いて耐久性の改善が行われてきたが、十分な特性を得られていなかった。今回開発した電池は、添加剤に独自の有機硫黄化合物を用いることで、一回の充放電で電極上へ強固な保護膜を形成し、溶媒の分解を抑制する事が可能。開発した電解液の基礎評価を行なったところ、抵抗上昇を従来比1/2以下、サイクル寿命を従来比1.5倍~3倍とし、繰り返し充放電による容量の低下を大幅に抑えた。
また、試作した電池を用いて耐久性評価実験を行ったところ、2万3,500サイクル(連続4年以上)の充放電を行い、初期容量の83%(25℃)を維持することを実証した。
今回開発した電池の基盤技術は、2011年度7月から開始している、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発(大規模蓄電システムを想定したMn系リチウムイオン電池の安全・長寿命化基盤技術開発)」に利用する予定。