三菱重工、温暖化防止に大きく貢献するばら積み運搬船を開発、CO2を25%削減

2011年10月15日 21:38

 三菱重工業は14日、CO2の排出量を従来船に比べて約25%削減できる新型ばら積み運搬船を開発したと発表した。

 商業化第一弾として、米国のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社(Archer Daniels Midland Company:ADM)向けに建造される穀物輸送船3隻に、同設計コンセプトと環境技術を供給する。

 泡の力で船底と水の摩擦抵抗を低減させる独自の「三菱空気潤滑システム(MALS:Mitsubishi Air Lubrication System)」や高効率な船型および推進性能改善装置などを採用したもので、住友商事が受注した。船の建造は大島造船所(長崎県西海市)が行う。

 新型ばら積み運搬船は、MALSのほか、造波抵抗を低減する新型船首などを採用。また、プロペラの前方にフィンを設置し、プロペラボスキャップに特殊な溝を設けることで主機関の出力を効率よく推進力に変換する。MALSは空気をブロア(送風機)で船底に送り込む方式を採用。船舶の有力なCO2削減策として同社が開発したもので、外販は今回が初めてとなる。

 3隻の穀物輸送船は、長さ237m、幅40m、計画喫水12.5mで、載貨重量トン数(DWT)は約9万5,000トン。浅い喫水を採用することで、MALSによる省エネ・CO2削減効果が追求しやすくなる。

 大島造船所は、同社が提供する設計コンセプトと環境技術に基づき、基本設計から建造に取り組む。同社からのMALSの関連装置納入は2014年を予定している。

 商談は当初、ADMと三菱重工との間で始まったもの。三菱重工は船舶・海洋事業において、他造船所への技術支援などのエンジニアリング事業の展開を進めている。今回、ばら積み運搬船の設計・建造で定評があり、ポストパナマックスクラスで約60隻の受注・建造実績を持つ大島造船所と協力することになった。この協力により、顧客により高いコストパフォーマンスを提供していく。

 ADMは世界的穀物メジャーの一社。ADM社が新造船を発注するのは今回が初めてで、船型もパナマ運河の拡張工事完了をにらんだものとなっている。

 新型ばら積み運搬船は、国際海上輸送においても強く求められている温暖化防止に大きく貢献する製品となっている。

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