ラピス、電源制御LSI「ML9077/ML9078シリーズ」を開発
2011年10月6日 11:00
環境への負荷が少ない新たなエネルギー源、クリーンエネルギーへの関心がここ数年、地球規模で大きく高まっている。同エネルギーは太陽光や太陽熱を利用したソーラーエネルギーや風力発電が主だが、その規模は今後も確実に拡大していくと予想されている。
その傾向はコイン電池等の小容量電池を用いる小型電子機器においても例外ではなく、ソーラーエネルギー利用への関心は極めて高い。既に腕時計や電卓は、電池寿命の長期化や電池レスを目的として、ソーラーパネルの発電エネルギーが電源として利用されているが、ソーラーエネルギー利用に向けては、ソーラーパネルと電池とを組み合わせた新しい電源システムを構成し、マイコンへ供給する電圧の制御や電池への異常電流注入防止などの安全機能や制御回路を持たせる必要があるため、開発コストやシステム構成部品が増加し、商品への採用が難しい場合もあるという。
そんな中、超低消費電力のLSI設計とソーラーパネルと電池を使った電源システムでのLSI設計を得意分野としているロームグループのラピスセミコンダクタは、このような状況に着目。これまで培ってき技術ノウハウを活用し、コイン電池等の小容量電池を用いる小型電子機器向けに、ソーラーパネルと電池の2系統の電源を制御し、マイコン及び周辺機器を駆動させる電源制御LSI「ML9077/ML9078シリーズ」を開発した。
今回開発したこれらのLSI製品は、ソーラーパネルによる二次電池への充電や過充電防止制御、またはソーラーパネルと一次電池を供給電源として自動切り替え制御しながらマイコン及び周辺機器を駆動。「ML9077」は、二次電池残量(電圧)に応じてソーラーパネルから二次電池への充電と、二次電池からのマイコン及び周辺機器への電源供給を自動制御する。一方、「ML9078」は、ソーラーパネル発電電圧と一次電池残量(電圧)を常時比較し、電圧が高い方をマイコン及び周辺機器への電源供給源として自動選択。また、「ML9077/ML9078シリーズ」ともに、超低消費電力で高精度の電圧比較、電源ラインの低インピーダンス特性を保持しての電源切替等の機能が全て自己制御され、外部の制御を必要としないため、簡単にソーラーパネルを用いた電源システムを構築することが可能となる。
なお、「ML9077」は、既に量産を開始しており、「ML9078」も9月よりサンプル出荷し、2012年1月より月産50万個の体制で量産を開始。生産拠点は、前工程をラピスセミコンダクタ宮城(宮城県)、後工程をラピスセミコンダクタ宮崎(宮崎県)で行う予定だという。