アップル、無料のクラウドサービス「iCloud」を10月12日から提供開始

2011年10月5日 16:35

 アップルは5日、画期的な無料のクラウドサービスであるiCloud(アイクラウド)を、10月12日から提供すると発表した。

 iTunes in the Cloud、フォトストリーム、Documents in the Cloudで構成されるiCloudは、iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Windows PCとシームレスに連動し、ユーザのコンテンツはiCloudに自動的にワイヤレスで保存され、そこからユーザのすべてのデバイスにプッシュされる。

 iCloudに保存されるコンテンツは、音楽・写真・アプリケーション・連絡先・カレンダー・書類などで、これらをすべてのデバイスで最新の状態に保つことが可能。これにより、使用中のデバイスひとつに何らかの変更があると、ユーザのすべてのデバイスが自動的にワイヤレスで更新される。

 「iCloudはコンテンツ管理の最も簡単な方法。コンテンツ管理をユーザに代わってすべておこなってくれるiCloudは、今日までに提供されてきたあらゆるサービスをはるかに超えるものだ。ユーザはデバイスのシンクについて考える必要は一切ない。なぜなら、それは自動的に行なわれ、しかも無料だからだ」と、Appleのインターネットソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントであるエディー・キュー氏は述べている。

 iTunes in the Cloudでは、新たに購入した音楽を、ユーザのすべてのデバイスに自動的にダウンロードできる。例えばiPadで購入した楽曲は、シンクをしなくても、自動的にユーザのiPhoneにも現れる。iTunes in the Cloudでは、過去にiTunesを通じて購入した音楽やテレビ番組などのコンテンツも、ユーザのデバイスすべてに追加費用なしでダウンロードできる。iCloudにはiTunesでの購入履歴も保存されているので、購入の際にどのデバイスを使ったかにかかわらず、購入したコンテンツをまとめて確認できる。コンテンツは既にユーザが所有しているため、ユーザのすべてのデバイスで再生できるほか、iCloudアイコンをタップすれば、そのデバイスにコンテンツをダウンロードし、再生することも可能。

 さらに、iTunes Matchでは、iTunesで購入されたもの以外も含むユーザの音楽ライブラリにある楽曲をスキャンし、それがiTunes Storeで提供中の2000万以上の楽曲と合致した場合には、それを256kbps AAC DRMフリー高音質バージョンで提供する。合致しなかった楽曲は、iCloudにアップロードされ、ユーザはすべてのデバイスでユーザの音楽ライブラリにある楽曲、アルバム、プレイリストを再生できるようになる。

 iCloudの革新的なフォトストリームサービスでは、ユーザがあるデバイスで撮影した写真が、自動的にユーザの別のデバイスにも現れるようになる。

 ユーザがiPhoneで撮影した写真は、iCloudに送られ、自動的にそのユーザのiPad、iPod touch、Mac、Windows PCにプッシュされる。ユーザのフォトストリームのアルバムを、そのユーザのApple TVで視聴することさえ可能。iCloudでは、デジタルカメラから読み込んだ写真のコピーをWi-FiまたはEthernet経由で自動的にプッシュできるため、それらをユーザの他のデバイスでも視聴できるようになる。iCloudは、ユーザのフォトストリームを効率的に管理して直近の1000枚の写真を表示してくれるので、ストレージが不足することはない。

 iCloudのDocuments in the Cloudサービスは、ユーザの書類をユーザのすべてのデバイスで横断的に、自動的に最新の状態に保つことができる。例えば、ユーザのiPadでPagesを使って作成した書類は、自動的にiCloudに送られる。

 Pagesを別のiOSデバイスで起動すると、同じ書類を最新の状態で開くことが可能で、前回作業を終えた時点の状態から編集を続けたり、続きから読むことができる。AppleのiOSデバイス用iWorkアプリケーションであるPages、Numbers、Keynoteで、このようにiCloudストレージを利用できることに加えて、Appleは、デベロッパが自身のアプリケーションでDocuments in the Cloudとシームレスな連係を実現させるのに必要なAPIも提供している。


 iCloudでは、App StoreとiBookstoreでの購入履歴も確認して、アプリケーションや書籍を、ユーザのデバイスにいつでもダウンロードできる。購入済みのアプリケーションや書籍は、それを購入したデバイスだけでなく、ユーザのすべてのデバイスに自動的にダウンロードすることも可能。購入済みのアプリケーションや書籍は、iCloudアイコンをタップすればユーザのiOSデバイスにダウンロードされる。追加費用は一切かからない。

 iCloud Backupでは、iOSデバイスが電源につながっていれば、ユーザの大切な情報を毎日、自動的かつ安全に、Wi-Fiを通じてiCloudにバックアップする。

 電源につなぐだけで、すべてが素早く効率的にバックアップされる。購入済みの音楽・テレビ番組・アプリケーション・書籍そしてフォトストリームについては、既にiCloudに保存されているので、iCloud Backupはそれ以外のもの、つまりカメラロールの写真やビデオ、デバイス設定、アプリケーションのデータ、ホーム画面とアプリケーションの配置状況、メッセージ、呼び出し音などのバックアップを行なう。iCloud Backupは新しいiOSデバイスのセットアップに役立てたり、既に使用中のiOSデバイスに情報やデータを復元するのにも利用できる。

 iCloudはユーザの連絡先、カレンダー、メールともシームレスに連係するため、友人や家族とカレンダーを共有することも可能。また、広告表示のないメールアカウントはme.comでホストされる。メールの受信ボックスやフォルダは、ユーザのすべてのiOSデバイスとコンピュータの間で横断的に最新の状態に保たれ、icloud.comではメール、連絡先、カレンダー、iPhoneを探す、そしてiWork書類にウェブを通じて簡単にアクセスできる。

 「iPhoneを探す」は、ユーザがデバイスのひとつを紛失した場合に役立つアプリケーション。このアプリケーションを別のデバイスで利用したり、コンピューターを使ってicloud.comにサインインすることで、紛失したiPhone、iPad、iPod touchを地図上で探したり、メッセージを表示したり、ロックやデータの消去を遠隔操作で行なうこともできる。なお、「iPhoneを探す」では新たに、OS X Lionが稼働するMacの場所も見つけられるようになった。

 「友達を探す」はApp Storeから無料でダウンロードできる新しいアプリケーションで、大切な人に自分の居場所を簡単に伝えることができる。友人や家族が地図上に表示されるので、素早く彼らの居場所を知ることができる。

 「友達を探す」では、夕食の間数時間や、キャンプに出かける数日間など自分の居場所を一時的に複数の友人と共有することも可能で、その時間が経過すると共有は終了する。「友達を探す」では、新たに友達からリクエストを受ける度にユーザはその通知を受け取る。リクエストを承認すると新しい友達にあなたの居場所が見えるようになっている。もちろん簡単なタップ操作で自分の居場所を隠すこともできる。ペアレンタルコントロール機能により、保護者が子どもの「友達を探す」の使い方を管理することも可能。

 iCloudは、iOS 5のリリースと同時に利用可能になる。iOS 5は、作業に割り込むことなく通知を一個所で簡単に閲覧・管理できる「通知センター」、iOS 5ユーザ間でテキストメッセージ・写真・ビデオを簡単に送れる新しいメッセージングサービスの「iMessage」、新聞や雑誌の購読を購入・管理するための新しい方法となる「Newsstand」など、200以上を新機能を備えた、世界で最も先進的なモバイルオペレーティングシステム。

 iCloudは、10月12日から、iOS 5が動作するiPhone、iPad、iPod touch、またはOS X Lionが稼働するMacを使用し、有効なApple IDを持っているユーザに対して提供される。iCloudにはメール、書類の保存、バックアップに利用される5GBの無料クラウドストレージが含まれている。iCloudストレージの追加アップグレードは、10GBを年間1,700円、20GBを年間3,400円、50GBを年間8,500円で提供する。

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