トヨタ、2020年を目標にバイオ燃料を実用化へ バイオ・緑化事業を公表

2011年10月3日 19:15

 トヨタ自動車は3日、トヨタのバイオ・緑化研究所(愛知県みよし市黒笹)を公開し、バイオ燃料(セルロースエタノール)の生産効率を引き上げる新開発の「酵母菌」や、駐車場と壁面向けの新しい都市緑化資材、および緑化効果をシミュレーションする「クールスポット形成技術」を中心に、バイオ・緑化事業の取り組みを公表した。

 同社は、今回、新たに遺伝子組換え技術を駆使し、セルロースエタノール製造の発酵工程において重要な役割を担う酵母菌を開発した。

 同酵母菌の特長は、酵素糖化工程において植物繊維を分解した時に出来る糖の中で、自然界の酵母では発酵が難しい「キシロース」を高効率で発酵させることが可能であり、かつ、酢酸などの発酵阻害物質に強いこと。これにより、世界トップクラスのエタノール発酵濃度(約47g/L)を実現しており、収率(原料からエタノールができる割合)の向上、ひいては製造コストの大幅な低減が可能になると期待しているという。

 同社は、CO2の低減や、将来のエネルギー多様化に対応するため、次世代環境車の開発だけではなく、バイオ燃料などの再生可能なエネルギー開発にも取り組んでいる。なかでも、食料と競合しない非食料原料から作るエタノールである「セルロースエタノール」に着目している。

 具体的には、セルロースエタノール製造における原料から前処理・酵素糖化・酵母発酵までの一貫技術開発に取り組んでおり、そのなかで、ガソリン等の液体燃料に匹敵するコストで製造することを目標として、原料である植物の安定供給のほか、製造コストの低減を課題として開発を行っている。

 今後は、収率のさらなる向上に取り組んでいくほか、エネルギー会社等と連携のうえ、2020年を目標にセルロースエタノールを実用化することを目指して開発取り組みを進めていく。

 また、同社は、駐車場緑化商品(商品名:「Smart Green Parking」)と、ワイヤー式の壁面緑化商品(商品名:「Smart Green Wall」)を新たに開発した。両商品とも、10月3日から、トヨタルーフガーデンを通じて販売を開始する。

 同社は、ヒートアイランド現象の緩和に向けて、都市緑化に取り組んでいるが、これまで商品化してきた屋上緑化・室内緑化に加わる今回の新商品により、緑化資材のラインナップが充実し、顧客の緑化ニーズに幅広く対応することができるという。

 また、同社は、緑化効果をシミュレーションする「クールスポット形成技術」の開発も行っている。これは、樹木の緑陰や蒸散の効果を予測し、涼しく快適で過ごしやすい空間を創出することを狙いとしている。

 具体的には、東京工業大学と共同で、樹木の蒸散量を正確に測定する方法を考案し、樹木の表面温度の予測モデルを構築。この予測モデルを熱環境シミュレーター等に組み込むことで、「どんな樹木や植物を、どれだけ、どのように配置すると、どれだけ涼しくなるか」という緑化効果を画面上でシミュレーションできるようにすることを目指している。今後、この「クールスポット形成技術」の2012年度内の実用化に向けて開発を進めていく。

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