武田薬品、スイスの製薬大手ナイコメッド社の買収完了 買収額は約1兆円
2011年10月1日 23:36
武田薬品工業は1日、9月30日(スイス現地時間)に、96億ユーロ(1ユーロ=104円換算で約9,990億円、株式価値+純負債ベース)での「Nycomed A/S(本社:スイス チューリッヒ)」の買収を完了し、同日をもって、Nycomed社を同社の100%子会社にしたと発表した。
Nycomed社の社長は、武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル(武田アメリカ・ホールディングスの100%子会社、本社:米国イリノイ州)の副社長であり、米欧販売統括職のフランク・モリッヒ氏が兼務する。
今回の買収は、「11-13中期計画」における、持続的成長の実現に向けた同社の基本戦略を大きく前進させるもの。買収によって、同社が高いプレゼンスを有する日本および米国の事業に、Nycomed社が広く自社販路を有する欧州および高い成長を続ける新興国の事業基盤が加わり、同社の開発力・販売力が強化され、同社の製品・パイプラインのポテンシャルが一段と高まることになる。
さらに、Nycomed社の28億ユーロ以上の年間売上高が加わることにより、買収初年度から安定的なキャッシュフローが同社にもたらされるという。
武田薬品の代表取締役社長である長谷川閑史氏は、「本買収は、『11-13中期計画』におけるタケダの業績をより力強いものにすることに加え、2015年度以降の中長期に亘る持続的成長を可能にするもの。本買収によって、当社とNycomed社のビジネスが相互に補完され、タケダが真のグローバル製薬企業へと飛躍することを確信する」と述べている。
また、Nycomed社社長のフランク・モリッヒ氏は、「これまでの事業の勢いを維持しながら、さらなる業績の伸長を実現し、多様化を推進すべくNycomed社のタケダへの融合を円滑に進めていく。タケダは、世界の医薬品市場における進出国を大幅に拡大して、70カ国以上にプレゼンスを有することになる。さらに、医療用医薬品の世界売上高ランキングは12位に浮上し、製薬業界におけるポジションが高まる」と述べている。
武田薬品は、Nycomed社の買収により、代謝性疾患、心血管系疾患、癌、中枢神経疾患、免疫・炎症性疾患、消化器疾患、呼吸器疾患および疼痛管理の領域で販売基盤を持つことに加え、日本、北米、欧州、アジアおよび新興国の医薬品市場にバランスのとれたプレゼンスを有することになる。
なお、武田薬品の「11-13中期計画」における2013年度の連結業績見通しは、売上高1兆2,600億円から30%強改善し、買収に伴う特殊要因除きの営業利益2,800億円は40%強改善する見込み。また、Nycomed社の業績見通しを加えた2011年度の連結業績見通しについては、今回の買収が完了したことに伴い見直しを進め、11月の第2四半期決算発表時にあわせて報告する予定だという。