マンション販売事業のサンシティ、仙台地裁へ民事再生法の適用を申請
2011年9月26日 15:43
帝国データバンクは26日、マンション販売や不動産流動化事業を手がけるサンシティ(資本金75億1054万6810円、仙台市青葉区一番町4-6-1、登記面=東京都中央区八丁堀1-5-1、代表米川淳氏、従業員129人)が、9月26日に仙台地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令及び監督命令を受けたと発表した。負債額は、2011年7月末時点で約248億8800万円。
帝国データバンクによると、同社は、1992年(平成4年)2月に設立した分譲マンションおよび賃貸用マンション等の企画・分譲業務、不動産流動化事業業者。設立当初は、販売代理業務を行っていたが、99年以降、自社物件分譲主体の展開に業態を変更。2005年12月期からは、土地の有効利用に関する企画・事業化といった不動産流動化事業を開始。設立以降連続して増収・増益決算を維持していた。
この間、2002年12月には株式の店頭、2004年9月には東証2部、さらに2006年6月には東証1部上場を果たし、2007年の東北地区での分譲マンション供給戸数も最多となっていた。東北、北関東、首都圏を営業エリアとしていたが、2007年3月には静岡県の同業者を買収するなど業容を拡大。最近は、不動産流動化事業に力を入れ、2007年12月期には年売上高約577億8500万円、当期純利益約24億6600万円を計上していた。
しかし、2008年に入ってからは、不動産市況の低迷が大きく影響して取得不動産の販売が急激に鈍化したうえ、事業用地購入資金を借入金に依存していたことが大きな負担となり、業績が大幅に悪化していた。2008年12月期の年売上高は、前期比6割減の約224億8500万円にまで減少し、販売用不動産等の時価が大幅に下落し、評価減を行ったことから、当期純損失約127億9200万円計上を余儀なくされていた。
このため、不動産流動化事業やマンション新規開発事業から撤退するとともに、在庫物件の買取再販ビジネスへ進出するほか、手持ち不動産の処分や在庫分譲マンション販売に注力していたが、買取再販事業は進展しなかったうえ、大幅な保有不動産売却損の計上もあり、財務内容は悪化の一途を辿っていた。
さらに、2009年5月以降、取引金融機関全行に対して、返済期限到来の借入金に対する資金残高維持を要請するなど、資金繰りはひっ迫していた。最近は、従業員削減を図るなど大幅なリストラを実施していたが、営業力の低下も進み、2010年12月期の年売上高は、約100億1300万円にまで減少。3期連続の当期純損失を計上し、財務内容の悪化に歯止めがからず、金融機関に対する返済猶予の見通しも立たないことから、今回の措置となった。
なお、今年に入って上場企業の倒産は、(株)インネクスト(東京、札証アンビシャス)に続いて4社目となる。