ソニー・東芝・日立・産業革新機構 中小型液晶事業統合で新会社設立

2011年8月31日 16:32

 ソニー、東芝、日立製作所、官民出資の投資ファンド産業革新機構(INCJ)は31日、INCJを中心として設立及び運営される新会社の下、ソニー、東芝及び日立の子会社等の中小型ディスプレイ事業を統合することで基本合意したと発表した。今後、INCJ、ソニー、東芝及び日立は、2011年秋を目途に法的拘束力を有する正式契約を締結し、関連当局の承認の取得等を条件として、2012年春に事業統合を完了することを目指す。

 新会社の名称は「ジャパンディスプレイ」。新会社には、中小型ディスプレイ事業を行うソニー、東芝及び日立それぞれの子会社(ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ、日立ディスプレイズ)の全ての発行済株式等が譲渡され、INCJを割当先とする第三者割当増資により2,000億円が投入される。新会社の議決権付株式は、最終的にはINCJが70%、ソニー、東芝及び日立がそれぞれ10%ずつ保有する予定。

 4社側によると、中小型ディスプレイの世界市場は、スマートフォン及びタブレットを中心とする高精細、高付加価値製品の需要急騰により今後急成長すると見込まれており、日本企業が優位に立つディスプレイの高精細化技術が競争力の鍵となっているという。一方で、競合各社も市場獲得の機会を狙い、大規模投資の実施や計画を公表しており、競争力強化のための施策を講じることが必要不可欠な状況にあるとも言えるという。

 「このような市場環境下、新会社は、対象子会社がそれぞれ有する世界最高水準の高付加価値技術を生かし、INCJから投入される成長資金を最大限活用することで新規生産ラインを立ち上げ、高付加価値市場を取り込むことを目指す。さらに、各社が持つ生産能力をより有効に活用することでコスト競争力を高め、グローバルリーディングカンパニーとしての地位を強固なものにしていく」と4社側はコメントしている。

 また、新会社は、世界最高水準の技術力を維持しつつ更に優位なものとするために、世界最先端の研究開発のための投資を行う方針。「次世代を担う革新的技術の創出を企図し、高精細化や薄型化が見込める有機EL等の高付加価値技術の研究・開発も積極的に行うことで、業界を牽引していく」としている。

 新会社の経営陣には、外部経営者を招聘する予定で、現在INCJが選定を進めている。なお、INCJ、ソニー、東芝及び日立は、新会社に社外取締役を派遣、技術協力体制の確立等を推進し、新会社は適切なガバナンス体制並びに強力な経営基盤の構築を進めていく予定。

 事業統合に関し、産業革新機構の能見公一代表取締役社長は、「本件は、オープンイノベーションの精神の下、次世代の国富を担う産業創出のためにグローバルに長期的かつインパクトのある投資を行うという産業革新機構のミッションを象徴する案件。新会社は中小型ディスプレイのリーディングカンパニーとして、世界最高水準の技術力を結集し、顧客利便性の高い製品を開発していくことで、成長市場において確固たる地位を確立していく」とコメントしている。

 また、ソニーのハワード・ストリンガー代表執行役会長兼社長CEOは、「今回の新会社設立は、中小型ディスプレイ市場において、各社の持つ豊富な技術やノウハウを融合することでさらなる技術革新とそれに伴う新たな成長をもたらす原動力になると確信する。これにより、スマートフォンやタブレットなどの成長市場において、お客様にさらに満足していただける価値あるディスプレイデバイスの供給を目指すことを期待している」とコメントしている。

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