プログレス補給船の失敗、ISS運用に大きな影響はない

2011年8月25日 21:00

 米航空宇宙局(NASA)は8月24日、プログレス補給船(44P=M-12M)の打ち上げ失敗を受け、記者会見を行い、「国際宇宙ステーション(ISS)の運用や滞在しているクルーの活動に大きな影響はない」と述べた。

 ソユーズUロケットは1978年からこれまで33年間、100機以上ものプログレス補給船を打ち上げ、一度も失敗しなかった。それだけに、今回の失敗は大きな波紋を呼んでいる。また、問題を起こした上段エンジン「RD-0110」は、ソユーズ有人宇宙船の打ち上げで使用されるソユーズFGロケットと共通しているため、今後のソユーズによる有人宇宙飛行にも影響を与えかねない。

 記者会見では、ISSプログラム・マネージャーのマイケル・サファディーニ氏(Michael Suffredini)は「スペースシャトルの最後のミッション(STS-135)のおかげで、ISSの食糧、水、推進剤などは十分にあり、クルーの活動に大きな影響はない」と述べ、「最悪の場合、実験回数は減るが、ISSは3人でも十分運用できる」と説明した。

 現在、ISSには日本の古川聡宇宙飛行士を含む、第28次長期滞在クルー6人が滞在しているが、そのうち、アンドレイ・ボリシェンコ宇宙飛行士、アレクサンダー・サマクチャイエフ宇宙飛行士、ロナルド・ギャレン宇宙飛行士の3人は9月8日に帰還する予定だった。

 しかし、交代となる第29次長期滞在クルーの3人を乗せたソユーズ有人宇宙船(ソユーズTMA-22)の打ち上げは、今回の事故原因が特定できるまで延期されるため、NASAとロシア連邦宇宙局はボリシェンコ宇宙飛行士らの滞在を延長する方針だ。

 ただ、ボリシェンコ宇宙飛行士らの滞在延長も最大で50日間程度だと考えられるため、事故原因の特定に時間がかかった場合、ISSの常時滞在クルーが3人に減る可能性もある。

 一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今回の失敗について、「プログレスの喪失により、直ちに「きぼう」日本実験棟の利用運用および古川宇宙飛行士の生活に影響は与えることはありません」とコメントしている。

 写真=NASA。

 ■NASA - International Space Station
http://www.nasa.gov/mission_pages/station/living/index.html

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