米空軍、極超音速技術実証機の実験でまた失敗

2011年8月12日 13:30

 米国防総省・国防高等研究計画局(DARPA)とオービタル・サイエンシズ社はアメリカ太平洋夏時間8月11日7時45分(日本時間23時45分)、極超音速技術実証機(HTV-2: Hypersonic Technology Vehicle 2)を載せたミノタウロス4ライトロケットを、バンデンバーグ空軍基地から打ち上げたが、滑空中にHTV-2との通信が途絶え、実験に失敗した。

 打ち上げられたミノタウロス4ライトロケットは順調に飛行し、数分後にHTV-2を正常に分離したが、滑空中にHTV-2と通信が途絶えてしまったという。機体は太平洋に墜落したと考えられるが、詳細は分かっていない。DARPAは今後調査と分析を進める。

 HTV-2の飛行実験は2回目で、2010年4月の前回も同じく滑空中に通信が途絶えた。

 米空軍は今回の結果に受け、「前回よりも多く、9分間以上のデータを集めました。私たちは現在、極超音速飛行状態で航空機を投入する技術を持っていますが、飛行を制御する方法をまだ知りません。必ず解決策があると考えています。私たちはそれを見つけなければなりません」とコメントしている。

 HTV-2は「ファルコン・プロジェクト」の1号機で、ロッキード・マーチン社が開発した。DARPAによると、HTV-2は時速約2万kmの速度で、約30分間にわたって太平洋の上空を飛行する予定だったという。

 「ファルコン・プロジェクト」はDARPAと米空軍が進めているプロジェクトで、極超音速飛行技術を確立し、小型衛星を低コストで低軌道に投入できる小型打上げ機(SLV)の開発につながるとしているが、極超音速武器システムの開発や、次世代長距離ミサイルの技術試験であるとの指摘もある。

 ■DARPA HYPERSONIC VEHICLE ADVANCES TECHNICAL KNOWLEDGE
http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2011/2011/08/11DARPA_HYPERSONIC_VEHICLE_ADVANCES_TECHNICAL_KNOWLEDGE.aspx

 【関連記事】
ミノタウロス1ロケット、偵察衛星「ORS-1」を打上げ
ミノタウロス1ロケット、偵察衛星「NROL-66」を打上げ
ミノタウロス4ロケット、小型衛星6基を打ち上げ
ミノタウロス4ロケット、初のスペースデブリ監視衛星を打上げ
米空軍、極超音速技術実証機との通信確保に失敗

関連記事

最新記事