現役セールスレップの営業コンサルタントがこっそり教える!!“新規開拓営業の極意”:第4回 難しく考えなくても明日から提案営業

2011年8月3日 19:22

■営業マンなんて不要?!
 さて、前回のコラムでは、下記のような「インターネット社会の盲点」をご紹介いたしました。
・インターネットは自分の主観により、自分が知りたいと思った偏った情報しか得られない情報源
・インターネット情報より、優秀な営業マンの話を聞く、提案を受けることで得することが多々ある

 今回は明日からすぐに実践出来る「提案営業のヒント」をご紹介したいと思います。

 多くの会社で「お客様のニーズ」をしっかりとヒアリングし、「御用聞き営業」はやめて、「提案営業」を心掛けなさいと指導されていると思いますが、具体的な方法は指導されていない気がします。実際に私のところへ相談に来られる方も、「当社の営業マンは“お客様のニーズを聞いてくることが苦手”で困っている」と言われます。

 長年営業コンサルティングや、営業代行(セールスレップ)を行なっておりますが、「お客様のニーズ」がはっきりしていて、“それに答えるだけ”であれば「優秀な営業マンは不要」というのが私の考えです。

 何故かと言うと、前回のコラムで書かせて頂きましたが、ニーズがはっきりしているお客様は、インターネットで必要な情報を仕入れ、「あとは価格の比較だけ」の状況なのです。つまり、よほど価格競争力が無ければ勝てないのです。逆に言えば、営業マンを育てるよりも、インターネットで必要な情報を公開し、とにかく低価格化に取り組むことで売上を伸ばしている企業で成功している例は多々あります。

 価格.comをはじめ、業務用のシステムや製品、サービスに関しても「一括見積」サイトが乱立し、価格の比較をすることは誰でも簡単に出来てしまう時代なので、営業マンの採用や育成なんかにお金を掛けず、徹底的にコスト削減を行い、価格勝負に勝つという手法も間違っておりません。

 必要に応じて「ご挨拶と見積提出」だけを行える外注営業を使えば十分なのです。(BtoBの場合、同等のサービスで同等の価格だと、「営業マンが来る、来ない」ということが、最後の決め手になることが多い)

 しかし、価格勝負では必ず薄利多売となり、ある程度の資本力が必要なケースや、更に低価格を実現したライバルが出現した時、一気にビジネスモデル崩壊というリスクがあることは覚悟して頂きたいです。

■難しく考えるな「提案営業」!!
 それでは、価格勝負だけの薄利多売というリスクを負いたく無い場合はどうすれば良いのでしょうか?

 近年では長年取引してきた企業や、グループ会社との取引でさえ、簡単に取引先を変更してしまうケースが増えてきており、あぐらをかいていたらすぐに足元をすくわれてしまう時代です。

 そうです。「提案営業」が必須なのです。しかし、冒頭で書かせて頂いたとおり、営業マンに「お客様のニーズをしっかり聞きなさい」と言ったところで、それでは「御用聞き」と何ら変わらないのです。

 実は多くの管理職はじめ、営業マンが「提案」という言葉に大きな勘違いをしているのです。

 まず、「お客様のニーズ」には、「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」がありますが、多くの方は「顕在的ニーズ」を聞くことに専念してしまいがちです。そしてその「顕在的ニーズ」にお答えすることが“提案”と思い込んでいるケースがとても多いのです。

 しかし、「顕在的ニーズ」は同業他社も簡単に理解出来るので、どうしても「価格競争」だけになってしまいます。

 では、「潜在的ニーズ」を簡単に引き出すテクニックを三つご紹介しましょう。

 一つ目は、顧客視点(提案先のお客様の立場に立った)での“提案書”を用意して、提案する方法があります。内容は勝手な想像で作成して構いませんが、複数用意することをお勧めします。

 提案書は勝手な想像で作成するので、作成自体は難しくはないと思います。たったそれだけで「提案営業」の第一歩なのです。提案自体が「潜在的ニーズ」に合致しない場合でも、お客様がその“提案”に対する評価をして頂け、意見を頂けます。そこから「潜在的ニーズ」が見えてくる可能性が高いのです。

 要は「お客様と一緒に、同じ立場で考える」という行為が「提案営業」に繋がるのです。

 二つ目は、言われた通りの見積書を中心に、松・竹・梅の3パターンで提出する方法です。具体的な例では、お客様から細かな仕様を指定した見積依頼を頂いたとします。そのまま作成した見積のみ提出するのは「顕在的ニーズ」にお答えする御用聞き営業ですが、高付加価値プランと、廉価フランも用意し、それぞれのメリット、デメリットをまとめます。たったそれだけで「提案」となるのです。

 要は「お客様に広い選択肢」を提供するだけ「提案営業」に繋がるのです。

 三つ目は「他社事例」を提供する方法です。多くのお客様は「他社事例」を参考にしたいと考えています。「他社事例」があれば、それを提供すること自体は難しいことではないと思います。

 これらのテクニックはとても簡単ですが、提案の押し付けにならないように注意し、あくまでも「潜在的ニーズ」を引き出す手法と理解してください。

 次回のコラムは今回紹介した三つの「提案営業」テクニックの成功事例をご紹介します!!

関連記事

最新記事