【太陽光発電関連特集1】電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源

2011年7月27日 11:15

■「脱原発」「小規模分散型電源」として注目度高まる太陽光発電システム

  東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、世界的に脱原発の動きが強まる中、深刻化するエネルギー資源問題や地球温暖化問題への有力な対策としても、再生可能な自然エネルギーの重要性が認識されている。

  そして再生可能な自然エネルギーの中でも、電力会社からの送電への依存度を減らす小規模分散型電源として、特に太陽光発電(PV=Photovoltaic)システムに対する注目度が高まっている。

  菅直人首相は5月、パリで開催された経済協力開発機構(OECD)の設立50周年記念行事の場で「2020年代の早い時期に自然エネルギーの割合を20%超に引き上げる」「太陽電池の発電コストを2030年に現在の6分の1に引き下げ、日本中の設置可能な1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置することを目指す」という構想を掲げた。構想の実現性は別としても、太陽光発電システムの市場が拡大する可能性は高いだろう。

■国の政策面での支援が重要

  太陽光発電システムは、太陽電池が太陽の光エネルギーを吸収して、直接電気に変換する仕組みの発電方式である。太陽光エネルギーは無尽蔵でクリーンなエネルギーであり、太陽光発電協会(JPEA)によると「もしも地球全体に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できるとしたら、世界の年間消費エネルギーをわずか1時間でまかなうことができるほど巨大なエネルギー」としている。

  ただし太陽光発電システムは、燃料費がタダで無尽蔵にあるとはいえ、日照時間など天候の影響を受けやすく、夜間は発電できないという欠点がある。さらに、太陽電池には蓄電機能がないため、出力変動の調整など安定的な電力供給を確保するという課題に対しては、蓄電池やスマートメーター(次世代電力計)を、太陽電池と組み合わせてシステム化することが重要なポイントになるだろう。

  また消費者の間では、エコ意識に加えて、電力不足や節電への自己防衛策として、家庭で発電可能な太陽光発電システムの導入意欲が高まっている。ただし、個人が家庭に設置するには高額な導入費用が問題となる。こうした導入コストの回収や、採算面などの課題に対しては、導入補助金制度や電力買い取り制度の充実など、国の政策面での支援が重要になるだろう。

  さらに太陽光発電システムの市場は、国内での需要は住宅用が中心だが、米国、中国、東南アジアなど成長が見込まれる市場での需要は、大規模太陽光発電所(メガソーラー)が中心である。主要関連企業にとっては、中国など海外メーカーとの競合が激化しているだけに、太陽電池の低コスト化、蓄電池と組み合わせたシステム化などへの対応とともに、国内と海外で異なった戦略を推進することも必要になるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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