2011年のスマートフォン出荷は2,131万台、モバイル端末の過半数に=矢野経済研究所
2011年7月26日 18:30
矢野経済研究所が26日発表した「スマートフォン市場に関する調査結果 2011」によると、2011年の国内市場スマートフォン出荷台数は前年比2.5倍の2,131万台に拡大し、出荷されるモバイル端末の過半数がスマートフォンとなる見通しだ。
■2011年度はフィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトが進む
同調査によると、国内外メーカーの大半が既にスマートフォンに参入している事や、通信事業者がスマートフォンを主力商品と位置づけていることから、2011年度に出荷されるモバイル端末の過半数がスマートフォンになる見通し。今後は一部の法人市場向けや特定用途の端末を除き、フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトが進むという。
また、国内市場はハイエンド志向が高く、防水機能や薄型端末などのスペック競争が持ち込まれているが、一方では海外メーカー製品を中心にスペックや機能を絞り込んだローエンド製品のラインアップも充実する見通しとしている。
■12年度には2,820万台、13年度には3,285万台に
また、2012年度は前年比32.3%増の2,820万台、2013年度は同16.5%増の3,285万台に増加すると予想している。
■10年度は前年比3.9倍の850万台
2010年は、「ワンセグ」「非接触IC カード」「赤外線ポート」といったニーズが高い機能を搭載した製品の登場、メールサービスへの対応などから、既存ユーザーのスマートフォン移行に加えて2台目需要が増加し、出荷台数が前年比3.9倍の850万8,000台に急成長した。2009年は、前年比28.3%増の217万5,000台だった。
■10年の世界市場は2億9,593万台
2010年世界のスマートフォン出荷台数は前年比56.1%増の2億9,593万6,000台だった。スマートフォンで出遅れていた大手携帯電話メーカーが市場に参入したことで市場が本格的に立ち上がった。また、欧州や北米市場などの先進国に加えアジア・中南米をはじめとする新興国や途上国でもスマートフォン人気が急拡大した。
■11年は63.4%増の4億8,374万となる見込み
2011年のスマートフォン出荷台数は同63.4%増の4億8,374万3,000台となる見込み。東日本大震災の影響でスマートフォン向け部品・材料の供給リスクがあるが、スマートフォンの需要は旺盛で年末商戦に向けた増加が期待されるという。
■12年以降はローエンドモデルに注目
2012年以降は、150ドル未満のローエンドモデルへの注目度が高まる見通し。特に新興国・途上国向けの製品では大手メーカーに加え、コスト競争力に優れる地元資本との競争が激しくなり、将来的にはフィーチャーフォンがスマートフォンに置き換わる見通しという。2017年には14億8,479万台の出荷を予測している。
■国内メーカーに必要な戦略
矢野経済研究所は、スマートフォンの市場競争について、国内メーカーが「コスト競争力や最新仕様への対応では(海外メーカーに)太刀打ち出来ない状態にある」と指摘。海外メーカーに対抗していく戦略として「製品コンセプトを更に磨きながら、新しい価値観を提示」「市場の細かいニーズを拾い上げて製品を改良」し、「インターネットのあり方を含めたマーケットの将来を見据えた製品作り」が必要と分析している。