全日空、エアアジアと格安航空会社を設立 来年8月に就航

2011年7月21日 17:34

 全日本空輸(ANA)は21日、マレーシアの格安航空会社(LCC)大手のエアアジアと、成田空港を拠点とするLCCを運営する共同出資会社「エアアジア・ジャパン」を設立することで合意したと発表した。

 エアアジア・ジャパンは、成田空港を拠点とする初のLCCとして、エアアジアのブランドとサービスを用いて運航する。関係当局の許可を前提に、2012年8月の国内線および国際線の就航を予定する。

 新会社の資本金は50億円で、出資比率は、ANAが67%でエアアジアが33%。今年8月に設立する予定。

 「航空の自由化の促進、鉄道・高速バスなど他の交通手段との競争激化もあり、国内航空業界を取り巻く環境は大きく変化している。そうした中、首都圏の国際線の主要空港である成田空港では発着容量の早期拡大が計画されており、様々なLCCや外国航空会社の参入が予想されている。ANAではこうした環境変化や新たなビジネスチャンスをにらみ、成田空港を拠点とした新たなLCCビジネスについて検討を重ねる中、既存のLCCブランドとの提携により短期間で新会社を立ち上げることが最善であると考えた」と、同社は、エアアジアとの提携理由について説明している。

 一方、ASEAN地域で最大の路線ネットワークを構築しているエアアジアでも、ASEAN諸国や東アジア地域における都市間アクセスの一段の向上を実現するために、日本市場に大きな影響力を持つビジネス・パートナーを求めていたという。「両社の考えが一致し、エアアジア・ジャパン設立の合意に至った」と同社はコメントしている。

 ANAの伊東信一郎代表取締役社長は、「エアアジアのブランドやビジネス・モデルと、ANAのノウハウを結集させ、新たな旅の楽しさ・スタイルをつくり出し、新規の航空需要を創出していきたいと考えている。このエアアジア・ジャパンが航空機利用をより身近なものとし、より多くの方々にとって便利で、気楽で、スピーディな交通手段になるものと確信している」とコメントしている。

 一方、エアアジアのトニー・フェルナンデス グループCEOは、「今般、エアアジアのLCCビジネス・モデルを日本にも拡げることで、多くの方々に安い運賃でフライトサービスを提供できるようになることを大変誇りに思う。エアアジア・ジャパンは、ASEAN諸国や東アジア地域における都市間のアクセス向上のみならず、旅行、ビジネス、観光による地域の交流を拡大することで、地域の経済成長にも寄与できると信じている。今回は、世界的にも高い信用力を誇り成功を収めているANAに、パートナーとして選んでいただいたことを大変光栄に思う。今回のANAとの提携による、エアアジア・ジャパンの設立は当社にとっても重要な出来事になる」とコメントしている。

 エアアジアはアジア最大のLCC(ローコストキャリア)であり、現在、アジア、オーストラリア、ヨーロッパの各都市を結ぶ約160路線を運航している。就航開始以来9年間で旅客数は延べ1億2,000万人に達し、機体数は当初の2機から104機にまで拡大した。エアアジアは現在、マレーシア、インドネシア、タイを拠点に全てのASEAN加盟国、中国、インド、スリランカ、オーストラリアにネットワークを有し、「ASEANのエアライン」としての地位を確立している。エアアジアは、Skytrax社による「世界航空会社調査(World Airline Survey)」において2009年から3年連続で「世界ベストローコストエアライン(World’s Best Low Cost Airline)」に選出されている。


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