電力はどうなるか?需要は回復するか?投機から投資に戻るか?=妻と夫の株ロマン

2011年7月17日 14:37

【妻と夫の株ロマン・時々の話題を夫婦の会話でお届けします】

■後半相場のカギを握る3つの視点

  【妻】 今年(暦年)も後半に入りました。後半は、わたしたちの生活にもマーケットにも期待できるかしら。

  【夫】 東日本大震災の復旧が進み、復興にもつながって行くだろうから前半よりは良くなると思われる。ただ、後半には、3つのことを注目している。(1)電力がどうなるか、(2)需要がどうなるか、(3)マーケットに投資が戻るか、という3点を。

  【妻】 マーケットのことを最初に聞きたいわ。マーケットに投資が戻るか、ということはどういうことですか。市場では、新高値銘柄も多いし、賑わっている印象だけど。

  【夫】 たしかに新高値銘柄は多い。しかし、東日本大震災後の日本経済再生を買っている動きではないと思っている。3年前の2008年に世界を大不況に落ち込ませたリーマンショックがあった。不況脱出のため、世界は一斉に景気テコ入れで歩調を合わせた。この効果が余韻として続いている。その現れとして、新高値銘柄の中身は、国際的主力銘柄ではなく小型銘柄や出遅れ銘柄が中心となっている。しかも、売買についても、株を長い期間持つという投資を目的とした人は非常に少なくなっていると思う。今日買って、できれば今日のうちに売却したいという人が多いようだ。元、大手証券の経営者だった方は、今のマーケットはパチンコゲームのようだと表現されていた。そうかもしれない。銘柄に夢をかけて買っているというより、値段を買っているということだろう。もちろん、許されていることだから悪いことではない。

  【妻】 やはり、大震災で資産株の電力株が下がったことが影響しているのでしょうね。お友達にも、東京電力株を持っている方がいます。売るに売れない値段まで下がったうえに、配当金も、もらえなくなった。電力株なら長期投資で心配ないと思っていたのに、とガックリ肩を落とされています。これでは、株を長く持つ気持ちにはなれません。投資が復活するには何が求められますか。

  【夫】 やはり、日本復活の自信を持てるかどうかだろう。今の日本は太平洋戦争で負けて焼け野原となったときに続く2度目の復活が求められているといわれている。あの頃の生活は悲惨だったけど、希望は持っていたように思う。今は物はあるし、たちまち生活に困るということではない。足りないのは国民に希望、ヤル気を与えられるリーダーがいないことだろう。期待していた総理の焦点の定まらないウツロな目を見ていると、国民に希望と元気を持てというのは無理だろう。

  【妻】 電力問題の発言はひどいわね。担当大臣に現地へ行かせておいて、帰ってきたら大臣発言を否定される。しかも、追求されると、総理としてではなく個人の見解ですと、言い逃れです。国の最高責任者が口にすることではありません。もちろん、民主党を選んだわたしたち国民にも責任があるわけですが。だから、総理は、わざわざ、私は憲法で守られていると強調される。なぜ、電力にこだわるのかしら。もっと、災害地の復旧・復興にこだわればよいのにと思うわ。

  【夫】 原子力の危険性を前面に出して自然エネルギーで名を残したいのだろう。これまで、外交問題では点数を稼げていないし、内政でも後世に功績を残すような政策は何もない。このまま、引き下がるわけには行かないという気持ちだろう。分からないではない。野球でいえば、9回裏、3点差で負けているような試合だから、一発逆転の満塁ホームランを狙いたい気持だろう。しかし、ホームランはなかなか狙って打てるものではない。日頃の基本通りの積み重ねの中からホームランも生まれてくるものだと思う。バッターボックスの総理にはアセリが見え隠れする。誰だって、原子力は怖い。だけど、明日から全部止めますということでは、日本の経済や生活が成り立っていかなくなる。もともと、日本の電力料金はそれほど安いわけではない。しかも、電気が止まるチスクが高いとなれば、海外へ生産を移す企業は増えてくる。20年先とか、期限を設けて、原子力の比率を下げて、この間に原子力の安全対策と自然エネルギーへの転換を進めるべきだと思う。その考えの余裕は今の政府にはないだろうね。ちょっと、ヘソ曲がりの見方をする人がいるけど、総理がいきなり全国の原子力を止めると言い出したのは、なぜ関東だけが苦しい思いをするのかというアドバイスがあったらしいということだ。先の参議院選挙で大敗したように民主党は地方に弱い。票田の東京を守るには東京電力を守る必要がある。言い換えれば地方にも苦労してもらうということのようだ。とくに、大阪や福岡を訪問してみると東京と違って活気がある。このままでは関東から地方へ人が移ってしまう。それだけではすまない可能性が出始めている。大阪副首都構想が持ち上がり、東京都知事も賛意を示されている。もし、首都まで移ることになったら大変だ、という思いはあるようだ。

■被災地復活は京都型の高技術企業中心で

  【妻】 首都が東京から移るのは嫌ですわ。でも、だからといって、地方の活力まで削ぐのはいけないわ。地方にも元気になってもらって、東京もいっそう元気になる。そのためには、将来の日本をどうするかという青写真を政府には描がいてほしいわ。電力問題が今年後半のポイントになるのは分かりました。需要だって、後半は回復するのではありませんか。

  【夫】 日本を代表する産業の自動車業界を見ていると、生産は急ピッチで回復している。しかし、国内の消費需要は本当に増えるだろうかという疑問がある。国内の失業者が多い中で国内需要に期待できるのだろうか。実際、自動車株では主力のトヨタ自動車株は、未だに震災前水準を回復できていない。しかも、EU、アメリカ、中国など海外の輸出市場もリーマンショック後の回復が一巡し、海外需要は多くは期待できない。とくに、思い出してもらいたいことがある。震災発生前に言われていたのは、日本国内には全体で20~30兆円の需要不足があるということだった。それが、今度の震災で15兆円ていどの供給力が失われたといわれる。被災地のみなさんには厳しい言い方でゴメンナサイだけど、日本全体としてみれば、震災によって需給関係はかなりよい状況になっているのではないかと思う。したがって、従来型の供給力復活ではなく、日本らしい、技術力を背景とした地域を作り上げてもらいたい。たとえば、優秀な京都的企業の東北版的なものだろう。歴史的にも京都と東北は関係も深い。

  【妻】 やはり、こういう時代こそ政治の出番ですね。総理の男らしさに期待しましょう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【震災後の自動車株に明暗】「生産回復」から「需要の見極め」へ=犬丸正寛(2011/07/16)
【太陽光発電関連特集2】さまざまな発電方式の種類が開発・量産(2011/07/17)
電子書籍関連銘柄特集(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場(2011/05/10)
地熱発電特集(4):地熱発電を国内・海外で事業展開する主要な関連企業(2011/05/08)

関連記事

最新記事